先日ドラマ大草原小さな家に出てくる動物たちが犬も含めて人に利用される家畜として大切にされている歴史についてお話しました。
いまや犬は家族の一員ですから家畜という言葉はもう時代にはあいません。
それでも犬は人が生活のために必要であるという理由で繁殖したり売買や譲渡することのできる動物であるという現実をまず受け入れておく必要があります。
その基盤の中で考えなければいけないのは、人と暮らす動物が幸せであるかどうかということです。
グッドタイミングで、公益社団法人日本動物福祉協会主催のEラーニング「第8回動物福祉市民講座」を受講しました。
内容が面白すぎて繰り返しみているためまだ第一部の瀬尾先生の講義を伺ったところです。
講義題目「乳牛のアニマルウェルフェアを分かりやすく」
講師 瀬尾 哲也 先生【帯広畜産大学 畜産学部 准教授 / (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 代表理事】
瀬尾先生の講義の題目の中にある「アニマルウェルフェア」とはまさに「動物福祉」を英訳した言葉です。瀬尾先生の講義の一部にはこのような説明がありました。
動物の飼育には動物福祉という考え方がイギリスを中心に広まっている。
動物福祉とは福祉という言葉から人の弱者を支援するサービスと誤解されているがそうではない。
“Animal Welfare”は「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される。
“Welfare”には「幸福」や「良く生きること」という意味もある
畜産技術協会では「快適性に配慮した家畜の飼養管理」とし、アニマルウェルフェアとカタカナ表記している。
※引用ここまで
動物福祉という考え方は動物を管理飼育するすべてのものが考える必要のある知識であることは間違いありません。
畜産などでたくさんの動物を管理する場合には必須の規則です。
ここで瀬尾先生は動物愛護とアニマルウェルフェアの違いについても触れられました。
とても参考になる内容なので引用させていただきます。
愛護とアニマルウェルフェアの違い
愛護:かわいがり保護すること。
主語は人間。
動物を愛する情動。
アニマルウェルフェア:
客観的に動物の快適性の配慮を目指す。
動物の立場でとらえる。
※引用ここまで
瀬尾先生の講義のプリントのとおり、動物愛護とは動物をかわいがる人の情動のことであって、動物にとってはどうでも良いことなのです。
そもそもは子供たちに動物をかわいがる精神を教育しようというのが動物愛護です。
犬を飼うために必要なのは動物愛護ではなく動物福祉の方です。
もう十年以上前からこの議論はあったはずですがまだまだ一般の方々にはこのことが伝わらない、浸透していきません。
畜産の場合には多頭での飼育になるため「動物の日々の快適性にたいする配慮」がとても重要になります。
しかし犬も同じように「動物の快適性の配慮」が最も大切なのです。
犬は室内飼育が多いし、エアコンもあるし、毛布もあるし、清潔だし、快適性は十分に確保されていると思いますか?
犬が適切な場所、テリトリーの外で排泄ができる環境や、犬が土や草に触れられる時間、犬が日向ぼっこする場所や時間はありますか?
犬は臭いに敏感な動物なのに、部屋はいつも閉め切ったまま、食べ物や清掃品や洗剤の臭いに囲まれて過ごしてはいないでしょうか?
犬の立場になってとらえるためには、犬を科学的に動物として理解する必要があるのです。
そのために、犬の歴史、習性、行動、機能性、遺伝について学ぶためにドッグスクールが存在しています。
いろいろなドッグスクールがある中でグッドボーイハートは犬について学ぶための学校であると宣言します。
飼い主が犬のことを理解すること、それが犬の行動の改善につながり、犬と人の幸せにつながる、その中で犬の動物福祉を実現させること、それがグッドボーイハートの目指すところです。
瀬尾先生のアニマルウェルフェア基準にもとづく畜産の話の中でまだ興味深い内容がありますので次回もそのことに触れます。