グッドボーイハート七山に戻ってポストを開けると一枚の封書が入っていました。
16歳で他界した犬ちゃんの飼い主さんからのお手紙でした。
旅立ったその犬ちゃんの姿や動いている映像をはっきりと出しました。
あんなこともあった、こんなこともあった。
それは16年前に講師として勤務していた専門学校でのことでした。
当時、とても真剣に学んでいた生徒たちと共にシェルターワーククラブという活動を始めました。
保護犬を福岡市の動物愛護センターから引き取り、生徒たちが飼育管理して飼い主さんに譲渡しようという活動でした。
賛同の意見もありましたが、多くの反対意見ももらいました。
犬を育てる環境としては決して良くはない。
でもこの目の前にいる学生たちがこの活動を通して学ぶことができるなら、きっとこの学生たちが将来動物の仕事についたときに、多くの動物とその動物に関わる人の助けになるだろう…
そう思うと気持ちを止めることができませんでした。
そしてはじまったシェルターワーククラブの第一号の犬ちゃんを福岡市の動物愛護センターから譲渡して受け入れました。
今は一般の人でも譲渡できる施設の犬たちは当時は譲り受けることすら難しような状態だったのです。
当時を知る人こその語れる話です。
初めての試みにミーティングを繰り返す日々でした。
学生たちは真剣に犬のお世話をしていました。
アルバイトや自分のやりたいことを削って、犬のお世話のためにたくさんの時間を使ってこの活動やこの犬から何かを学ぼうとしている姿勢を受け取ることができました。
そしてついに、その第一号のシェルターワーククラブ卒業犬を家族として迎えていただく日が来ました。
その日からその子が亡くなる日までの長い長い月日を、家族として大切に育ててくださった飼い主さんのお手紙を拝見して、どんなに愛されて育ったのかと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
シェルターワーククラブという活動が社会に何かの影響を与えることなどありません。
活動を通して影響を受け、成長することができたのは私を含むクラブ活動で成長した学生たちの方です。
犬との出会いはたくさんのことをわたしたちに教えてくれます。
特に何年経っても鮮明に思い出す犬は私にとって大きな学びであったと思っています。
彼もそんな犬でした。
ビスコ。ありがとう。
もう一つの世界でオポと再会したらよろしく伝えてね。