先日ある本を読んでいてこのブログ記事の題目を思いつきました。
その本というのは池谷さんという薬学博士の書いた古い本です。
脳の仕組みは動物の行動に影響を与えるので、気楽に読める本は常に手元に置いています。
優しい言葉で書いてるのですが内容は自分などにとってはかなり難しいもの、それでも日常生活に当てはめてある説明には興味を惹かれます。
池谷博士というと脳の海馬の研究者として有名だということはご存知の方もいらっしゃるでしょう。
その池谷氏の本にあった行動のしくみ。
その行動は無意識にしているのか意識していしているのかということです。
その犬の行動が無意識なのか意識的なのかを考えたことがあるでしょうか。
犬に意識などあるのかといのうがはじめの反論になりそうですが、意識的行動、無意識行動は脳内からくる行動です。
犬と人では脳の構造は違いますが、犬にも脳がある、であれば犬にも意識はある、ということは犬にも無意識の行動があるということです。
ここではその前提で話を進めます。
本の文書中ででききた日常的な人の無意識行動の例は「箸を使うこと」でした。
箸を持つときに筋肉の動きを考える人はいない、
でも箸は生まれたときから持てたのではない。
箸を使うことを小さいときに覚えてそれを繰り返し毎日何度も練習するうちに箸が使えるようになり、その後無意識で箸を使うようになったのです。
だからそのことに集中しなくてもその行動をしてしまいます。
そのような無意識行動は、実はつねに犬の中に起きています。
何かをきっかけに始まった行動で犬が同じ行動を毎日何度も積み重ねるようにしていくと、その行動そのものが無意識的に始まります。
犬が意識的に行動を起こしていることを改善したり修正したりすることはさほど難しいことではありません。
むしろ犬の行動改善において難しいのは、この無意識的行動の方です。
しかも無意識的行動は、脳の奥深くとつながっていると考えてください。
箸を使う行動のように、学習によって得られた無意識行動ですら脳の機能の中で成り立っています。
箸を使う行動はその行動の結果食べ物を口にするのですから、人にとっては報酬と結びついていきます。
無意識の行動の連続で食べ物が自分の口に入ってくる。
犬にも同じようなことが起きています。
犬がある行動をしたときに何かの報酬を得ると、報酬脳が刺激されます。
そうすると再び同じ行動が起きる、これを繰り返すと次に行動が起きるときには犬の方で「これをやろう」という意志はほとんどないのです。
どのような行動がこれに当てはまるかというと、犬が日常的に繰り替えす行動に焦点を当ててみるといいでしょう。
ボールを追う
自分の脚先をなめる
床をなめる
家具をかじる
排尿をする
こうした小さな行動が繰り返されるときには、行動のきっかけには理由はなく、ただ無意識的に報酬を求める行動が起きているということになります。
犬には悪気はない、だからこそ「これはダメなことなのだ」と道徳観に訴えても労力の無駄ということです。
人側の強い反発が有効なのは、その行動を起こした数回以内に限ります。
だからこそ犬のしつけは子犬のうちからがいいのです。
犬が無意識な行動を繰り返すことは、ただ経験を重ねる経験学習をしていることになるからです。
それは人にとって良いことでないことの方が多いし、同時に犬にとっても利益のないことがほとんどです。
動物の脳は自分を破壊するためにあるのではない。
犬の脳は自分を壊すためにあるのではないはずなのですが、犬にはストレス行動が多い。
無意識の世界は本当に奥深くからやってきますので図りようもありませんが、飼い主としてできることは犬が出す行動はすべてシグナルとして受け取り、適切な手伝いをするべきだということです。
やることがたくさんありすぎで飼い主としては混乱するかもしれません。
しかしむしろその方が、本当に犬に向き合っていると言えます。
答えが簡単に出るわけはないのです。
だから犬と関わるというのはどこまでいっても面白いのだと私は思います。