先日お預かり犬ちゃんをお庭で過ごさせながら草刈りをしていたときのことです。
草刈りを手伝ってくれていたダンナくんがバイクのメンテナンスを始めました。
テラスでバイクのエンジンテストのために結構強く吹かす音が聞こえてきます。
お庭の犬ちゃんが気になってそーっと様子を見にいきましたが、日向ぼっこを止める感じもなく、ウロウロもなく、いつもと変わらぬ感じです。
そういえばそのバイク作業の近くに小鳥の声がちゅんちゅんとしているのですが、その小鳥たちもバイクの音に反応して逃げ出す感じはありません。
いつもと変わらぬ感じでその場にとどまっています。
こうした大きな音、バイクの音は特に振動が強いので周囲の環境に与える影響は大きいと感じてしまいます。
でも小鳥たちなどの野生動物が全く反応をしないのですから、警戒する必要のないものと認識されています。
特定のモノや音に驚いてしまう過敏な反応は、野生動物よりもむしろ家庭犬の方が強いと思います。
その理由は日常的に過ごしている環境の違いにあるのでしょう。
そもそも社会化というのは周囲の環境の変化の中に安心を獲得していく学習のことをいいます。
普段と変わらないから大丈夫、これは危険でないから大丈夫を脳が繰り返し学習していくわけです。
バイクの音といった特殊な音でも、これは大丈夫と野生動物が判断できるということですから、単に音として認識されているわけではないのでしょう。
自分たちの身が脅かされるようなものではないと動物が判断するときにそれが大丈夫の箱の入れられていきます。
ところが家庭犬の場合には、危険と反応する箱の中に入れられることが多いのです。
ひとつ危険の箱の中にはいるとそれに類似するものはすべて危険の箱の中に入ってしまいます。
だから世の中は危険であふれているということになります。
過剰におびえたり逃げたりパニックを起こしたりするようになります。
そもそもこの反応の多くは人との生活の中で作られていきます。
原因のひとつとなるのは軟禁されていることです。
行動の自由をなくすと動物は不安を抱えます。
庭などで自由行動ができない環境に成長する犬の多くは不安を抱えやすい状態になります。
二つ目の原因となるのは、人の気持ちの不安定さです。
人が不安を抱えていることの解消として犬を求め始めると犬は不安を抱えやすい状態になります。
共感性の高い動物なので、気持ちの弱い動物の下では弱い動物となってしまうのです。
時代と共に人間という動物、特に日本では人が年々弱くなっていますので、そうした意味でも犬は不安を抱えやすい状態になっているといえます。
野生動物の方が家庭犬よりも社会化しているというと、野生動物よりも家庭犬の方が人に近付いてくるではないかと反論されるかもしれません。
でも野生動物が人にとびついたり噛みついたりする確率よりも、家庭犬が人にとびついたり噛みついたりする確率の方が圧倒的に高いとなるとどうでしょうか?
人は本当に犬と仲良く暮らしていると言えるでしょうか。
逆からいうと犬は本当に人と安心して暮らしているのでしょうか?
犬は本当に複雑か環境に置かれた動物です。
ひとつでもひとりでも犬を理解していただくために、ローレンツの本おすすめします。