犬の問題行動のいろいろとある中でも、吠える行動は周囲への迷惑行為です。
飼い主としてはなんとしてでも止めさせたい犬の行動でしょう。
特に吠える状況が散歩中となると、近所で吠える犬として有名になってしまい、吠える犬=しつけができていない犬となって肩身の狭い思いをすることになります。
犬が吠えることを気にして散歩に出なくなったり、人目をはばかるように夜中に散歩に出るということもあるかもしれません。
そんな散歩中の犬の吠える行動に悩める飼い主さんたちの多くから言われる言葉、それは「なぜうちの犬だけが吠えるのか」という不満の声です。
散歩中の吠える行動はいろんな要因によって起こりますが、やはりその多くは自宅での飼い主の甘やかしや不安を助長する接し方が強く影響しています。
飼い主との関係性の中で生まれる行動なので、ドッグトレーナーである私がリードを持つと吠えなくなることが結構あります。
犬は危機的な状況で吠えているというよりも、相手が自分よりも強い犬であるということを認識しつつ騒いでいるだけのことも多いのです。
強いリーダーシップがあれば不安は解消されるので吠える必要がないのですが、飼い主が犬への甘え行動を見せていると自分よりも弱い存在として犬は騒ぎたてます。
そのため飼い主の犬への接し方を改善しなければ、この吠えは解決しません。
たとえば犬と添い寝するとか、犬を抱き上げる抱っことか、犬をいつも見るとか、よくなでるといった行動は犬への甘え行動となり犬からすると頼りない存在となります。
もしくはこんな接し方が犬の分離不安状態を生み出し、犬は過剰に防衛する行動をするため吠えがパニック吠えとなり収まりがききません。
接し方を変えることがルールとして導入される飼い主の中には、同じように接している犬でも吠えない犬がいるのはなぜだろうという疑問が生まれます。
疑問を抱くことはおかしくありません。
ですが吠えないというだけで犬がリラックスして社会的にストレスなく生活しているとは限らないのです。
同じように甘やかされて育った犬でも、散歩中に他の犬に吠えないということはいくらでもあります。
他の犬を無視する、他の犬を見ないふりをする、他の犬がきても後ずさるなど、うまく立ち回る犬たちもいます。
犬の行動を判断する段階で、人にとっての迷惑かどうかで図るというのはとても堅実は方法です。
人からみて迷惑行為だと思う吠えやマーキングや噛みつきは、犬にとっても不利益な行動なのでぜひ改善をしてあげたいものです。
ただ、人にとって迷惑ではないが犬にとっては不利益だという行動も多々あります。
それは犬のストレス行動という形で現れます。
これらの犬たちは外側への主張が小さいため、メッセージは内側に表現されることがあります。
体の不調であったり、精神を病むことであったり、性質がゆがむことであったりといろいろです。
お人形のようなガラスの目をしている犬たちをみるたびに心が苦しくなります。
むしろ吠えている犬は人にとってわかりやすく、自分たちが落ち着かない環境にいることを伝えていると考えるとありがたい存在なのです。
教えてくれてありがとう、知らせてくれてありがとうと思います。
そこから犬たちの環境や関係性を変えることは、犬にとってもひとつの変化というストレスになることは言うまでもありません。
でもその先に落ち着ける環境が待っているのは間違いないのです。
ただ変化の過程で、犬だけを押さえつけるのは犬の反発をかいます。
変えるべくは犬ではなく、犬周辺の環境と飼い主という自分であることを決して忘れないでいただきたいのです。