子犬同士が対面したときによくみられる横跳び。
前かがみになって左右に飛ぶ行動は「遊びを誘う」の意味から「プレイボウ」という名前もついています。
この姿勢からは左右とびだけでなく、前後にもとぶことができるので、常に移動する姿勢をとりたいときにプレイボウの姿勢になるのです。
子犬と子犬はこのプレイボウの恰好をしながらお互いに横に飛びあっています。
遊び行動ではありますが、対立に発展する可能性もある行動です。
ここでいう遊び行動とは、犬にとって無意味な行動をさす「あそび」ではなく、将来必要なことを習得するための「あそび」を指します。
同時に将来のためだけでなく、横跳びをしている時点でも重要なメッセージを発しています。
メッセージとは、ここまではわたしの陣地、だからこっちには入れません、というものです。
横跳びで境界線を引きながら前後とびでジャブをうつ犬たち。
格闘技ではステップを踏むということでしょうが、小さな自分のポジションをキープしているという意味では目的は同じです。
少し大きめのジャブをおみまいしたいときには、前脚を相手にかけてとびつきの状態になったり、体当たりをします。
犬同士は軽くかわしますが、人間はほとんどこのジャブのおみまいを受け続けています。
先日このブログで犬のとびつきはジャブですと説明したところ、ある飼い主さんから「うちの犬のジャブを受け続けています!」とメッセージをいただきました。
横跳びはステップの始まりなので、戦闘モードの始まりでもあります。
ところが、今まであまり犬とコミュニケーションをとろうとしなかった犬が、他の犬の前でステップを踏みはじめると、飼い主さんが大変喜ばれます。
「他の犬の前で遊びを誘うようになったんです。」
いや、遊びといっても「私と遊びましょうよ」というようなやさしい言葉とはちょっと違うのです。
横跳びして追いかけあって、犬たちは自分の小さな領域を守るために横跳びを続けているのです。
犬の横跳び行動、ただの遊び行動ではなく真剣モードだと知ると、逆に犬のことが愛おしくなります。
犬が誰とでも仲良くなる八方美人でなくても、その犬を尊重してください。
誰とでも仲良くなれるような人を私は不思議に思います。
良い人と思われなくてもいい、良い犬と思われなくても犬たちは大丈夫です。