グッドボーイハートでお預かりしている犬ちゃんのクレートカバーがこの季節の七山では心もとなかったので、簡単なものを作ることにしました。
手元にある布とミジンコを取り出し、完成したクレートのイメージに向かって創作を開始しました。
ところが、完成したものは始めに妄想のなかで見たものとはかなり違うのです。
もっと素敵で可愛いものが出来たはずなのに、皆さんきれいに作ってあるのに何故うまくいかなかったのだろう。
選んだ布に問題があったのか、もしくは、ミシンが安すぎたのだろうかと、思うのもほんの数秒のこと、
イメージ通りにいかなかったののは、自分の力不足、技量不足、経験不足、ただそれだけなのです。
犬を家族として迎えた方のほとんどは、これから迎える犬と家族の楽しい暮らしを思い描いていたはずです。
ところが、実際に犬を迎えてみると思い描いていたイメージとは違って、いろいろと問題が起きてしまうこともあります。
犬との暮らしに問題を抱えている飼い主さんの多くが、「なぜ、うちの犬だけがこんなになったのでしょうか?」とお尋ねになります。
私が道具が問題ではないかと疑ったように、犬の個体そのものが問題ではないのかと疑いをかけられてしまいます。
ドッグスクールへの犬のしつけ方の相談には、吠える、咬みつく、散歩ができない、留守番できないなど、犬の困った問題があります。
問題とされる犬たちはみんな、はじめから問題があったということはありません。
飼育の過程や繁殖の過程によって問題となる行動を取らざるを得なくなってしまった犬たちの言葉を飼い主にお伝えしするのが家庭犬インストラクターとしての仕事です。
現在の犬の環境や育て方、しつけ方、接し方をより良い方向へ変えていくことで、犬が健全に成長することができるよう飼い主さんにサポートをお願いしていきます。
そのための、犬への理解、共感と飼い主としての自覚なのです。
みんな何も知らなくて犬を飼っているのに問題があるのはうちだけではないかという不満をお持ちかもしれませんが、問題があったからこそ犬のことを理解するチャンスができたと思っていただければと思うのです。
犬を高い金額で購入してしまい、トレーニングや犬のしつけ方を習うための資金を準備されていないことが、この大切な機会を逃してしまうこともあるでしょう。
せっかくお気に入りの車を買ったのに、その車を大切に維持していくためのプロの力を必要とするメンテナンス料金を準備できなかったら、車はボロボロで使い古しとなり結局は車の良さを発揮することもなく、愛されなくなってしまいます。
犬を迎える予算のうちから、まず犬のしつけ方や犬について学ぶ料金を差し引いた金額で考えていただきたいですし、すでに犬を迎えてしまったご家庭なら、予算には入っていなかったけどこれはどうしても大切な犬との関係作りのための準備として、犬の学校で学ぶ資金作りをお願いします。
ネットで検索すれば無料の情報はたくさんあるかもしれませんが、自分のように専門家としてお金をいただきながら犬について飼い主さんに指導する立場にある人間は、そのことに対する努力と体力、気力を注いで自らも学び続けています。
十分に学んだつもりでも、まだ力不足であることを感じることもあるのですが、みなさんの学びも自分の学びのひとつとして真剣にこれからも学んでいきます。
犬は育てるものです。大切に育てていきましょう。