先日、NHKで放送された犬の仕事を紹介したプロフェッショナル流儀という番組の録画をいただいたので見ることができました。
数名の生徒さんからご意見をいただいたり感想を求められたので、少しだけ触れさせていただきます。
番組の中でもみなさんが関心を持たれたのは、犬のしつけや訓練をテーマとしたおひとりの訓練士の方の日々を追った部分かと思います。
番組内で見られた訓練士による犬のしつけ及び訓練の手法について、いろいろな思いや意見を持たれたとということでしょう。
感想の中には、飼い主が犬のことを知らないことが犬を苦しめていると感じたというものもありましたが、犬の悲鳴や厳しいしつけに嫌悪感を覚えるという方もいらっしゃいました。
番組内でも訓練の方法をめぐっては、インターネットを通じて中傷とおもわれるコメントがあることも紹介されており、訓練の方法には賛否があるということは認められています。
なのであえてここに触れる必要はないかと思います。
犬の飼い主に注目しておいてほしいところは別のところにあります。
その部分があまりにもクローズアップされなかったため、あえてこちらに提案させていただきます。
人に咬みついて人と暮らすことが困難になった犬たちを訓練する訓練士の方は、その理由について、犬は変わっていない、犬に対する概念が変わった。飼い主の飼い方に問題があるという旨の発言をされています。
おおむねこの意見に同感いたします。
犬が全く変わっていないとは思いません。それは繁殖や販売方法や犬の飼い方に変化があれば、犬という動物も少しずつ変化せざるを得ないと感じているからです。
遺伝子情報にも変化がみられますし、300年前の日本人と今の日本人が全く変わっていないと言い切れないのと同じ理由です。
ですが、実際に変わったのは、犬に対する概念と飼い主の飼い方です。
犬に対する概念の部分には、繁殖、販売、保護、訓練、トリミング、病院といった1頭の犬に関わるすべての人々の概念を含みます。
その上で犬に最も影響を与えているのは飼い主の飼い方であることは間違いありません。
ということは、これらの不幸な問題を根本的に解決に導くには、現在多くの人々が持っている犬のどのような概念が犬を不幸にしているのかということを明らかにするしかありません。
残念ながら番組の中ではこの部分には一切触れられなかったということです。
犬を愛玩やペットとして楽しく暮らす飼い主のタブーには触れられないということなのか、もしくは問題の本質がなんであるかを製作側が気づかれなかったのかということでしょう。
残念ではありますが、次回に期待したいと思います。
今回の番組で、犬と暮らす飼い主さんたちがいろいろなことを考える機会をいただいたことは間違いありません。
グッドボーイハートのみなさんとは、犬と人ができるだけ対等な関係でお互いに自由であるために、犬という動物について、ゆっくりと話し合いを続けていきたいと思います。