犬のしつけ方相談やトレーニングのご相談で多いものの中に、犬の無駄吠えというのがあります。
犬という動物は、みなさんが思っているとおりかなり頭の良い動物なので、本来は無駄に吠えたりはしません。
無駄吠えといういい方が一般的になっている理由は、そもそも犬が何故吠えているのか人側からはわからないからなのです。
犬の方からすると理由があって吠えているわけです。
いろいろな状況下の吠えがありますが、吠えの種類はある程度仕分けすることができます。
無駄吠えの中でも最も多いのが警戒吠えです。
自分の住処となるテリトリーを誰かが侵そうと感じたときに、こっちに来るなというような意味あいで吠えるものです。
警戒吠えの多くはテリトリーつまり自宅内でおきますが、散歩中にも同じ理由で吠えます。
次に多いのは要求吠えです。
飼い主に対する要求行動として起きるもので、食事の前に騒いだり、散歩の前に吠える、飼い主がかまっていないと吠えるなどが多いでしょう。
要求吠えと警戒吠えの区別は、状況別で判別することも可能ですし、吠えの声質で判断することができます。
このふたつのうち、飼い主が先に止められるようになるのは自分に対する吠えになる「要求吠え」の方です。
ところが飼い主さんの方は、要求吠えよりも警戒吠えのほうが気になるようで、そちらの方ばかりをとめようとします。
要求吠えは気にしないのに、警戒吠えは気になるというのはおかしな感じですが、声質の違いによって、飼い主に不快感を与えやすいのが警戒吠えということは納得できることです。
以前ブログでもご紹介したように、緊急を要する注意を引く音は異質で不快に感じられるものになっているからです。
ところがこの二つの吠えですが、結論からいうと要求吠えが止められないなら警戒吠えは止まらないと思ってください。
さらに付け加えると、犬から要求吠えをして黙っているような飼い主であっては、犬の警戒吠えを抑えられるような存在にはなれないということです。
この要求吠えですが、要求吠えとおもわれていない吠えのひとつがキュンキュンと鼻をならすことです。
ワンワンではないのでかわいそうとかカワイイといって人に受け入れられてしまいますね。
キュンキュンと鼻をならす犬は、警戒吠えも強いものなのです。
犬を見る際には、かわいいとかわいそうという感情を押し殺してできるだけ冷静に観察してみましょう。
あなたの犬の新たな一面が見えれば、犬が本当に必要としていることも同時に見えてきます。
犬の問題行動は犬からの真剣なメッセージです。
いっしょに謙虚に受け取りましょう。