七山では家の裏や玄関には解けきれないわずかな雪が残る程度になりました。
この季節、雪の降るたびに暖かさを増していく春の訪れを感じられる季節なので、天候を見ながら犬と山に入るのはワクワクする時間です。
七山に移ったばかりのときには、木々の変化もほとんどわからず、季節の移り変わりにも無頓着でした。
10年も山の中を犬と歩いていますので、木々の色の変化などで春の訪れを感じるようになったのです。
臭いもなんとなく若葉のような青臭さをひろえるようになりました。
雪の下でいつの間にか大きくなったいろんな植物が、雪が解けると一気に顔を出しています。
犬の方はわたしたちよりももっと鋭く、この環境の中に起きていることを気づいているようです。
日曜日には、上級者の方でトレッキングクラスを開催しました。
上級者とはどういうことかというと、山のかなり奥の方まで歩いていきます。
足場があまりよくありませんので、体力もバランスも必要です。
油断するとこけてしまうようなそんな山を歩いています。
周囲には野生動物の気配もたくさんあります。
流れるにおいを察知するのか、犬が鼻を高くあげて臭いを嗅ぎ始めたり、少し落ち着きなく体を左右に振ることがあります。
こちらも早めに察知して備えをしなければいけません。
整備された山しか歩いたことのない方からすると、単純に怖いと思われるような行為かもしれません。
安全を周りに確保してもらうのではなく、自分でつくっていく必要があります。
慎重さも必要だし、行動する必要もあります。
体も緊張するし、心も緊張します。
そして、感知力の高い犬とのパートナーシップは絶対です。
一頭の犬、ひとりの人の衝動的な行動が、周りを危険に巻き込んでしまうこともあります。
環境把握をしながらブレーキとアクセルを上手に使って進みます。
その間、心地よい風、きれいな光、山のにおいを味わえるのですから、最高に心地良い時間です。
山歩きの最中に、遠くからバイクの音が聞こえてきました。
数台のバイクが山中を走り抜けていく音です。
集団で競い合うように走るバイクの音はあまり得意ではありません。
でもゆっくりと山間を走り抜けていくような流れのある音は心地よいものです。
バイクを上手に乗る人は、一体感とコミュニケーションを大切にするといいます。
知人にバイク乗りがいて、バイクに乗る理由を尋ねたら「美しくなれるから」という答えでした。
緊張と緩和、そして自然を感じながらバイクに乗ることで、美しくなれるということらしいのです。
犬との山歩きといっしょなんだなと思いました。
犬との山歩き、最初はみんな初心者です。
まず一歩からぜひお試しください。