犬って何を考えているんだろうは、なかなか解けない質問です。
何かを考えているのか、もしくは考えていないかもしれないというところから、考えなければいけないという土ツボにはまってしまいます。
だけど、犬が表現しているものは、わりと分かりやすいものです。
分かりにくいことよりも、分かりやすいことから始めが方がいいですね。
でも、この犬の表現方法も、人間の方はかなりの誤解で受け取ってしまいます。
「犬が尻尾を振っていると、なんだか喜んでいると思ってしまうんですよね。」
これが多くの飼い主さんの言葉でしょう。
ですが私は、尻尾を高く上げてブンブンと横に振りながら、吠え続け、
もう少しでも近付こうものなら噛み付くことが予測される犬と何ども接触しました。
尻尾を振っていても、決して喜んでいるわけではないのです。
犬の気持ちをもう少しはっきりと受け取るために、見分けられる筋肉があります。
表情筋といわれる顔の筋肉です。
人では表情筋というと美しい笑顔をつくるために大切らしいですが、犬にも顔に筋肉があり犬の表情はこの筋肉によって変化しています。
犬が緊張しているときには、表情筋はひきつる方角へ上げられます。
よく犬の笑顔として紹介されている写真も、ほとんどが犬が緊張して引きつっている顔なのです。
横上に引きつって筋肉が引き上げられると、歯がしっかりと見えてしまいます。
人の笑顔が歯を見せることだという印象から、これらの犬の表情が笑顔だと思われるのでしょうが、これも受け取り方が曖昧です。
鼻先にシワを寄せるような表情になると、緊張から恐怖に変化していくことを受け取ります。
鼻先という中心に皮膚が集まることで自然と牙が見え始めます。
同時にウーという防衛の音を発することになります。
犬の表情の作り方は、表情を作ろうとして起きているのではなく、音を出すためだったり、牙を相手に見せるためだったりするのです。
結果、そのような表情になってしまうということです。
表情の変化は社会的な対象である他の犬は人に対して向けられるのが普通です。
生物ではないものにこうした表情が向けられるときには、それを生きていると認識しているか、何者であるかが認識できずにいるためです。
生きているものかもしれないということで、まずは社会的信号を発しているということです。
表情筋は読み取りやすいものではありますが、ある種類の犬たちからはあまりこの信号を得られません。
まず、顔周りの毛を長くしたままの犬たちです。
例えばプードルは顔の毛の長さで、表情筋がとてもわかりにくくなっています。
表情筋を上手く受け取りたいなら、顔周り、特に鼻周りの毛は短くしてあげてほしいのですが、可愛くないということで、あまり人気がないようです。
次に、短頭種の犬たちです。フレンチブルドッグ、ペキニーズ、ブルドッグ、パグなど、短頭種の犬たちの顔には最初からシワがよっています。
この形状からは気持ちにあわせた表情を表現するには、十分とはいえません。
全く出ていないわけではないので、細かに観察してその犬なりの表情を早く知ってあげるといいでしょう。
そして、表情の種類の少なくなった犬です。分かりやすくいうと、行動の種類が少なくなった犬といった方がいいでしょうか。
飼いやすいといわれるゴールデン・リトリバー、キャバリアなどは、社会的行動のいくつかが極端に少なくなっています。
同時に、緊張した犬のような表情をすることが少ないため、かわいらしく人気のある犬種でもあります。
一方で犬という動物の本来もつ高い社会的コミュニケーション力は、多少落ちてしまっている傾向があります。
犬の表情筋をよく観察し、自分の犬の性質についてみなおしてみましょう。
表情筋は表現することで発達することは言うまでもありません。
表情のない犬は、表現の受け取り先がないということです。
犬と毎日接して、もっともその表現を受け取っているのは、飼い主さんであること大切にしてください。