今年はリンゴをたくさんいただいた。
寒冷地でタフな食べ物は貴重な食材。このリンゴたちは私とオポのエネルギーの糧だね。
いただいたリンゴをテラスの椅子の上に乗せておいた。
戸口を出入りするたびにオポのセンサーが反応する。
椅子の上のリンゴをみたまま静止してなかなか戻ってこない。
このセンサーは私につながっている。
「ああ、見つけたのね。でもこれは今食べられないよ。」
こうしたことはなかなか伝わりにくい。
特にテラスというテリトリーは微妙なのだ。
室内でもなく、屋外でもない、お互いに判断が下しにくい場所でもある。
それでリンゴを置く場所を変えてみた。
私の頭よりも高い棚の上。
この位置であればオポのナティボも納得する。
理解しがたいことを説得するよりも 犬の本能に働きかけた方が早い。
オポは棚の上から漂うリンゴの臭いをキャッチはしたが
それを口にできない葛藤は生まれなかったようだ。
あとは熟して落ちてくるのを待つだけだ。
これで万事めでたくおさまったかのように思えた。
ところがある日…忘れていたことに気づかされた。
それは、鳥ナティボ(本来の鳥)である。
静まり返った冬の日々にひたり、動物たちの存在を忘れていた。
鳥に獲付けなどするつもりはなかったが、鳥ナティボの勝利を祝って、さくらんぼの木につつかれたリンゴを移動させた。
突然現れた実に、この辺の鳥たちは忙しくなった。
モズから、カラス、そしてトンビまでが集まってきた。そしてリンゴは1日でなくなった。
動物たちには分かち合う力がある。
食べる順番もちゃんと決まっている。
捕食する動物だけが得をしているのではない。
必要以上に採らなければちゃんと自分の分は回ってくる。
必要以上に採ると自分の分もなくなってしまう。
ルールを決めた動物はいない
調和を学んでいるだけだから。
だからナティボはすばらしい。