秋深まり七山に戻ると思いっきり空気を吸ってリフレッシュしています。
野外活動をしていた生き物たちは息をひそめています。
とても静かで誰もいない感じが漂っています。
動物のヒトであるわたしの方は、様々な文明の利器を使って暖をとっています。
冬でも活動できるようにした人間の欲求とは、本当にすごいものだなと感動します。
プライベートトレッキングクラスに参加してくれている犬ちゃんが、
この季節に一番おいしい雑草といわれるハーブを食べていました。
その雑草はオポもよく口にしていたもので、なつかしく思い出しました。
「この草ってとっても苦いんですよ。」とわたし。
「食べたことあるんですか??」と驚く生徒さん。
オポがよく食べていたので、食べたことがあることを説明し、
そしてその場でも口にいれてむしゃむしゃと食べました。
その光景にビックリされたのか、生徒さんから質問を受けました。
「犬に食べさせる前に、全部を試食してみるタイプですか?」
一瞬その質問にとまどい、またとても可笑しくなり笑ってしまいました。
そうですね。そういう方もいらっしゃいますよね。
犬に与えるドッグフードもオヤツも全部自分が食べてから与えるという対応ですね。
この場合は全く逆の発想です。
犬が必要で食べている草だから、きっと体にいいものなんだろうと思うのです。
だから自分もその草を食べてみるのです。
犬の食性という知恵から学び、その知恵を分けてもらっているのです。
結果、その草はとても苦くてそんなには食べられないと知ることもできるし、
また、その大変苦い草を食べている犬が、単に味覚重視とも思えないのです。
よほど、自分というヒトの方が、美味しいものは口にするけど、
苦いものは避けたいという食の選択になってしまいます。
さらに、もうお腹いっぱいなはずなのに、つい食べ過ぎてしまうというのも日常ですね。
良薬は口に苦しといいますので、その苦いハーブは大変良い薬なのでしょう。
そうしたものを誰から教えられなくても選別できる犬という動物の力は恐るべきものです。
ところが、都市部ではこの選択ができません。
生き生きと生えるこれらの雑草が存在していないからです。
選択する力を発揮することができなければ、その遺伝子は死に絶えていきます。
ヒトは自分が失ってしまったものを、また犬からも奪おうとしていると感じます。
だからこそ、雑草を美味しそうに食べる犬ちゃんを見て、なんだかホッとしてしまいます。
雑草が食べられるのは11月中旬くらいまでです。
限られた季節に、どうぞ山歩きにお出かけください。