グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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山を育てる人を育てる、山を育てる人は犬も育てる:山村塾企画の「森林(もり)づくり活動講習会」のお知らせ

 グッドボーイハート七山校の尾歩山の下草刈りがピークを迎えています。というのも、梅雨入りの前にどのくらい整備できるかが今後の作業の量に影響してしまうからです。クラスの終了後によくお手伝いしてくださる生徒さんたちも「今やっとかないとね。」といってくださるので、草を向き合ううちにこれはただごとではないと感じているようです。この危機感と緊張感は毎年襲ってくるので、これを共感してもらえるというのことはそれだけでとても心強いことです。


●森林(もり)づくりとはどういうことなのか

 山を育てているのは、動物たちの住処を育てたいという単純な気持ちだというのは正直なところですが理由はそれだけでありません。犬だけでなく、わたしたち人間が健やかに生きていくためにも、山という自然環境はなくてはならない存在であると感じているからです。

 都心に生活する人々にとっては山は意識しなくてもそこにある存在なのかもしれません。でも今、その山が荒廃しつつあります。整備された登山道ばかりを歩くのではなく、ちょっとした里山で立ち止まったり山を車で超えるときに周囲を見渡して気づくこともあります。人は山から多くの自然を調達してきたので、山のほとんどは原生の姿を残していません。竹林、杉林、果樹園、山間の畑など、人が利用してきた場所が見捨てられ荒廃しているのです。この山は、手を入れつづけていく必要があり、そのためには森林づくりをする人の手を必要としています。

 ここでいう山というのは山の奥のことではありません。山のふもとの里のことです。この境界線をきちんと作って守り育てることは、動物たちから農作物を守ることにもつながるし、山の動物たちが人との急な接近に驚く回数を減らすことにもなります。境界線をきっちりと作るのは犬の飼育環境や犬との関係性についてもまず第一に必要なことですが、それと同じことを山でもやりましょうということです。

 ところがやり始めるといろんなわからないことや上手くいかないことも出てきます。そもそも知っている人について学んだのではなくあくまで我流なので、適当にやっていればどうにかなると思ってやってきたけど、むしろ無駄なことが多いのではないかと感じることもあります。都心と山を行き来すると痛感しますが、とにかく広い、そして高いです。平地がないからしがみついて草刈することもあるし、足を踏み外したら落下するのではとヒヤヒヤすることもあります。無知の強さとはいえ人に手伝ってもらっている身分なのですから、無知ではすまされません。


●山村塾の森林づくり安全講習会

 そこで勉強する機会を求め調べているとなんと「森林(もり)づくりボランティア育成」とい活動を福岡県でやっているという情報を得ました。里山に人が住まなくなって人手が足りないから、それを都心のボランティアの中から求めようということのようです。里山作りに関心のある方も増えていますし、いずれ田舎に暮らしたいという人々を取り込むこともできます。

 福岡県は現在、森林(もり)づくり活動のために活動安全講習会という1年に全7回の講座の運営を主催しています。この活動を企画運営しているのが八女市黒木町にある山村塾という団体です。
 チェーンソーの使い方を学びたくて調べているうちに山村塾のことを知り今年度の講習の案内を送ってもらいました。その資料が上記の講座でした。他の講座の内容が充実していて、どれも関心の高いものだったことに自分でも驚きました。山の裾野で暮らした10年で、「これどうするんだろう」「これでいいのかな」の疑問が続いていたことが全て講座になっていたのです。

・刈払機の取扱い→よく田舎でみかける丸い鋼がブンブンまわる草刈機を刈払機といいます。この講習だけで10時から16時30分までありますのでかなり内容の濃い講習のようです。主に畑などの家付近から山が始まる間の部分や斜面などの草を刈るために使っています。

・下草刈り→鎌などの手道具をつかった下草刈り作業で広葉樹の木の育成にはかかせません。こちらは樹木の間に生えてくる下草といわれる草を刈り取っていく作業です。七山校では今この作業にすごい体力を使っています。こちらの方は鎌とぎに苦戦しているのですが、なんと鎌とぎも講座の内容に入っていました。さすがですね。

・竹林整備→山から里の間にかけて斜面が崩れないようにするいわゆる「土詰め」のために竹や笹はどこにでも生えています。生活にもたくさん使われているものではありませんが、制限をしないとどんどん根を増やして広がってしまいます。放置しておくと年齢がたった竹が倒れて荒れ果てた山になります。実際にたくさん見ることができます。

ほかにもチェーソーの使い方とか間伐という中級編までありました。ボランティアのレベルでここまでくるとすごいと思いますが、この程度なら森林の仕事をしていなくても生活の一部としてだれでもできた時代があったのかもしれません。

これらの講座は無料です。そして1回でも参加が可能です。
詳しくはこちらでご覧いただけます。


平成29年福岡県森林づくり活動安全講習会案内

山村塾のホームページ



●山育てと人、そして動物

 いそがしいから森林ボランティアなんでする時間がないという方も多いかもしれません。しかし都心の小さな部屋の中で体を動かすスポーツではなんだかもったいないと思うのは私だけでしょうか。アウトドアスポーツの方が好きという方もいるかもしれないけれど、オートキャンプのために削られて平坦にされる山はもうあまり見たくありません。自然の中で汗を書いて気持ちがいいと叫びたい方で、犬がそばにいて一緒に協力して作業ができて、ありがとうといえるような関係を気づきたいなら、山育ては絶対にお薦めします。犬がほどよく木が生えて風通しの良い森林で紅潮する気持ちは、犬という動物の歴史を考えるとわかります。そして、犬と過ごす山で得られるこれこそ本当の犬のよろこびだと感じてしまう瞬間」は、自分にとって気持ちの高まる時間です。

 山を育てるということは、結局自分や犬が成長する場をいただいているということになります。考えれば結局は自分のためじゃないかということになりそうですが、それでも構わないと思っています。自分のためといってもいろいろあります。山育ての目的は、自己利益や自己顕示欲のためという気分の悪くなるものではありません。動物にとって体と心と精神の成長は、日々の時間がこのためにあるのではないかと思えるほど大切なことだと感じ、その場を山からいただいていると感じるからです。

 梅雨がもうすぐ始まります。下刈りはますますヒートアップしていきます。


dav