グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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今年はじめてのウグイスの声と犬たちの春山

春風の心地よく吹く季節に今年はじめてのウグイスのなき声を聞きました。
毎年耳にするこの声を聞くとやっぱり春が来たのだなと感じます。
山で季節の移り変わりを体感するようになって、季節というのは自分が思っているよりも早いのだということを感じられるようになりました。2月といえばまだ積雪もするし寒さも厳しいです。それでも2月の節分をすぎることになると、春になったなと感じるようになりました。

山の動物たちも活発に活動をはじめているようで、山歩きの犬の動きも少し変わってきます。地面に鼻をつけている時間がながくなったり、歩いている道からちょっとだけ脇のほうに臭いにいったりして動物の動きを調べています。

都心で長らく生活している犬たちにとって野生動物は自律した特別の存在です。ほとんどの犬は野生動物の臭いに対してビクビクしています。落ち着きなくウロウロと歩くようになったり、臭いを嗅ぎ続けることも恐れを抱いている証拠です。こうした落ち着きのない行動は興奮行動のひとつですが、興奮のレベルとしては「不穏」といったところでしょうか。読んで字のごとく穏やかさを失っている状態で、警戒心が高まり危機感を感じ始めている状態です。

このような行動を遊び行動と間違ってしまうことがよくあります。山に入るとウロウロとしていたり臭いに執着しはじめたり走り出そうとしたりするときは不穏な状態、これを越すと走り回り行動が始まり、わたしが言葉にするときには「きれ走り」という専門用語でもありませんが、切れて走り回る状態につながっていきます。これらは大変危険な興奮行動であるため、不穏がそれ以上の興奮にならないように興奮のレベルを落としていく必要があります。

犬を抑制するための方法としてみなさんはどんな方法を使われるでしょうか。トレーニングの中でとても多く見受けられるのは号令や合図といった特定の行動をさせる落ち着かせです。確かにこれも落ち着かせの働きがあり、オスワリマテやフセマテ、もしくはマテといった合図によって動いている行動を一旦止めることができます。言い方をかえれば合図をかけなければ行動が止まらない場合や状態もあります。

この合図をかけて落ち着かせることは、興奮している犬によって影響を受ける社会的対象(人や犬)がある場合には、他者の迷惑をかけないためにも必要な処置です。犬の生活空間は刺激が多い環境であることも多いため、ぜひ身につけていただきたい落ち着かせの方法であると思います。

即効性のあるこの合図による落ち着かせには欠点もあります。それは、落ち着くという犬に必要な状態の変化を犬自身が引き出すことができず人に依存しがちになるということです。犬はいつも人と離れていることはないのだから、常に人が落ち着かせればいいではないかという価値観もあると思いますが、犬の自律性を育てて犬として生きる時間を大切にして欲しいという立場に立つと、犬が自律的に落ち着きを取り戻す練習は合図による落ち着かせよりもずっと大切な成長のための練習です。

山歩きの中では合図による落ち着かせを使いません。環境を整えながら犬が自律的に落ち着いてくるのを待つことを学びます。待つといってもただじっとしているわけではありません。合図を使う場合には行動をゼロにしてしまう依存的な方法になりますが、本来の落ち着かせは行動のパターンをかえながら気持ちを安定させてくるものです。
たとえば、犬の落ち着かせ行動には次のようなものがあります。あくび、耳をふる、体をかく、身震いする、ゆっくりあるく、口をなめる、舌を出すなどです。これらの行動は犬が自らを落ち着かせていくための行動ですが、こうした行動を経てやっと本来の落ち着きにむかっていきます。この落ち着かせ練習は山歩きの環境ならではの練習で、こうした時間や環境を持てるということはとても貴重なです。

ゆっくりと山を歩いたあとは設置したばかりの薪ストーブの上でパンを焼いていただきました。同時に薪割りも少しお手伝いしていただきました。薪割りは身体の芯がゆがんでいると刃の入りが上手くいかずなかなかうまく割れません。身体のバランスはリードを持っているときの犬の行動に影響しますので、これもまた学びのひとつです。生活のどんなことも犬と関連付けていけるのですが、それは犬のためにというよりそうであることが自分にとっても心地よいものであるため、むしろ心身を健康にしてくれる犬に対して感謝の気持ちが生まれます。

寒さもあと少しです。薪ストーブももう少し活躍してくれそうです。

dav