グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

子犬を飼う前に考えること:犬を迎える準備

子犬を飼う前に、保護犬を迎える前に考えなければいけないことがあります。
すごく大切なことなのですが、考えなくもしくは衝動的に犬を飼う方が増えています。そのため、犬を飼ったあとに問題が起きてしまいます。そして、そのことが「飼い主が捨てる犬」が減らない原因にもなっています。
考える項目としてはとても単純なことです。以下にまとめてお伝えします。

子犬を飼う前に考えること、大きく分類するとふたつに分かれます。

●その1 犬を飼うことができる環境が整っているかどうか。

チェック項目でチェックしてみましょう。

□ 犬を飼うために必要なお金を準備できる
購入の買う資金ではなく、犬を育てるために必要な費用です。

犬の飼育にかかるお金は、食費、登録費、狂犬病予防接種費、犬用道具費、医療費、トレーニング費、預かりなどのお世話の費用などを考えると、毎年数万円のお金が必要になります。

□ 犬を飼う場所を提供できる

屋外で飼う場合 → 犬を安全に管理し、周囲にも迷惑のかからないような適切な屋外飼育場所がある。
きちんと囲われた場所や安全に係留できる場所を提供できる。
目隠しなどで、周囲の刺激にさらされないような屋外飼育環境の整備ができる。

※屋外飼育の場合には、場所があるだけでなく、周囲の住宅との距離や道路から犬が見えるかどうかなど、密集地帯では、以外に難しい面があります。
犬を安心できるように飼育場所を整えようとすると、日当たりが悪くなることもあります。
犬はテリトリーに近づくものがあれば吠えるという番犬吠えをするのは習性のため、全く吠えないようにすることもできません。
住宅密集地での屋外飼育は地域の苦情問題に発展することが多いため、十分に考えてから決める必要があります。

これは間違い! 以下の場所は犬を飼育できる場所ではありませんので、外してください。
□ ベランダ
□ 土間(一時的な避難所にはなりますが、飼育場所にはなりません)
□ 玄関 上記と同じ
□ 通路
□ 倉庫
□ 車庫
□ 物置
□ 畑
□ 資材置き場

このようなスペースで犬を飼う方がいるのかと驚かれる方もいるかもしれませんが、過去にご相談を受けたときに実際に犬の置かれていた場所でした。

室内で飼う場合 → 犬を上手に飼うための犬用のクレートや、居場所を一時的に制限するなどの工夫がなされている。
犬が歩きやすく滑らない床を準備している。
犬が気になるようなものや危険なものをおかずに室内が整備されている。
犬が適切に排泄できる場所を確保できる、もしくは提供できる。

※犬を室内飼育する場合の最も大切な問題は、その犬が室内飼育が可能である性質であるかどうかです。
犬の性質によっては人と距離を置くことでうまく人と関わりを持つことができる犬もいます。むしろ本来の犬はその性質を持ちます。
犬は人為的な繁殖によって愛玩犬化をすすめられてきたため、人がそばにいると安心、言葉をかえれば人がそばにいないと不安定な状態になりやすくなっています。小型の愛玩犬にはこの傾向が強くみられます。

これは間違い! 犬を室内で飼うときにサークルにいれて飼うというのは犬の習性に反する飼育方法です。
犬は大変落ち着かなくなり、不安定で吠えたり咬みついたりする問題行動を起こすようになります。
サークルでの飼育で犬に問題が起きているときには、犬の生まれつきの性質ではなないことが多いため、専門家に相談されることをお勧めします。
犬のサークル飼育は、飼い主がいつでも犬を観賞でき、自分の気分次第で簡単に出し入れできるため最近は増えているように思えます。犬という動物と暮らすことが、犬という仲間と共に暮らすことではなく、犬というアクセサリーを持つという風に代わってきているのかもしれません。時代の流れなのかもしれませんが、これまでに人と犬がつくってきた関係を思うと推奨できません。

□家族全員が犬を飼うことに賛成している

どこで飼育されようと犬は住居を共にする仲間になります。
人がそう思っていなくても犬の方は仲間と仲間でないものを分ける習性があります。
ひとりでも反対する人がいる、犬が苦手な人がいる場合には、犬を飼うことを諦めましょう。

・飼い主の家族構成
→ 小学生3年生よりも小さなご家庭で、子供の面倒を見る存在が母親だけの場合には、犬を室内で飼うことをお勧めしません。特に犬だけのスペースとして庭を提供できない場合には、子供の社会化が進み子供が室内に動く犬をおもちゃとして触りたいと思わなくなる小学生高学年まで待ってから迎えた方がよいでしょう。

→ ご自宅に介護中の方がいらっしゃって、お世話が必要な場合には、上記と同じ理由で犬を飼うことは延ばされたほうがいいでしょう。ただ、介護のためにサービスを受けられるなどの準備が整っていて、犬のお世話の方が重複した負担を強いられないのであれば犬を飼うことも可能でしょう。

□犬の世話をすることができる人がいる(責任者は大人だけです)

犬の世話をする責任者が一人以上いることです。この中に学生以下の子供は含まれません。
生活が安定している社会人だけを責任者とします。
大学生は大人ではありますがすぐに就職して生活時間が変わってしまいます。
そのため責任者予備にはなっても責任者にはなりません。

犬の世話をする人は、毎日数時間を犬と共に過ごすことになります。

犬のゴハン、散歩、遊び、など。特に子犬のうちはひとりにすることができないので、半日は子犬の世話が必要です。
また老犬になると再び半日、もしくは終日が老犬のお世話に必要になることもあります。
犬は病気もします。またこのときにも時間を割いて世話をすることを苦痛に思わずに飼えることはお互いにとって必要でしょう。

●その2 どのような犬を飼うことが可能なのか。

「どのような犬」を分類すると以下のようになります。

・犬の大きさ 大型犬、中型犬、小型犬
犬のサイズは、外界の環境の温度に左右して変化していきました。
日本の国土で季節を問わず屋外で活動することができるのは、体重が6キロ~12キロくらいまでの中型犬です。
15キロ以上の犬になると暑さによわく、5キロ未満の犬になると寒さに弱い傾向があります。

・純血種か雑種か
これはあくまで好みということですが、ぜひ知っていただきたいことがあります。
雑種というと、全く性質がつかみにくいと思われがちですが、実はいくつかに分類されます。
純血種の場合にも、一般的な犬種の性質とは別にわける必要があります。
この分類については明日のブログでご紹介します。

いずれにしても大切なのは「外見で選ばない」ということです。
犬を飼うことは人の趣味的な行為のひとつでもあるため「外見の好み」で犬が選択されることが多いようです。
しかし長い年月を家族として暮らしていくのです。「見かけより中身が大切」は人も犬も同じです。
性質はよしあしではなく、犬を飼育する環境に適しているのかという意味で大切だということです。

・犬の性別 メス、オス
性別による行動の差はありますが、その差は飼育の大変さには関係ありません。

都心であれば不妊手術をされることをお勧めします。
不妊手術は犬の病気を事前に防ぐ方法でもあります。また、都心で犬同志の生活距離が近いため、不妊手術をしていないことによる犬のストレスから解放させるための手段でもあります。
健康な動物に手術を受けされるのはかわいそうとも思われるかもしれません。しかしその前に、犬を飼育している環境がすでに不自然なのです。その不自然な環境の中で、犬の方に負担を強いていることも考える必要があります。
不妊手術に対しては賛否があるところだと思いますが、犬の立場にたって、飼育環境や犬の病気をかね合わせて十分に考えた上で飼い主さんが選択してください。

・飼育する場所 屋外飼育が可能か、もしくは室内飼育向きなのか
主に洋犬気質の犬、愛玩犬気質の犬は室内飼育でないと落ち着きなく不安定になります。
逆に、日本犬気質、野良犬気質の犬の場合には、人との距離を上手にとらせることで安定します。室内飼育でも距離感を保つことはできますが、物理的な部屋の広さは必要です。日本の狭い家屋やマンションではお互いに距離をとることはなかなか難しいことです。

・犬の年齢 子犬から飼う 成犬を迎える
現在の多忙な生活の中で犬を迎えるのであれば成犬から迎えることをおすすめします。
ただ、成犬であっても行動に問題がある、性質的に把握できないような状態で迎えることはお勧めしません。
信頼のある保護団体や保護施設を通して犬を迎えることができれば、安定した気質と行動の犬を迎えることも可能です。
ですが、すべての犬ではありません。施設にも不安定な状態の犬たちはたくさんいます。それをケアするシステムや場所や人手が整っていないからです。かわいそうだからとなつきにくい犬を引き取ってしまい、結局犬を安心させることができない場合もあります。飼い主は自分の力量を知って時間をかけてゆっくりと犬と出会ってください。

子犬を迎える場合には、前述したように1日の半分は子犬のために使うようにしてください。
子犬は成長が早くいいことばかりでなく、不安なことや危険なこと、いわゆる良くないこともすぐに覚えてしまいます。
子犬をただ甘やかしてしまい、成長の機会を与えずに成長後は手に負えなくなり放置してしまうのは、立派な動物虐待ですす。

・犬を飼育した経験があるのか
犬を飼育した経験がない方には→
飼いやすい性質の犬を提供できる環境にあわせて選択されることをお勧めします。

犬の飼育の仕方について学校で習われることは必須ですが、犬を飼う前から学ぶこともできますので、ぜひそのような良い相談場所をご利用ください。犬は飼ったあと「やはり飼えない」と捨てることも人にあげることもできません。
たとえば1千万円の車を買うことよりも、動物を飼うことのほうがずっと大変なのです。

犬は最初に人がどのように接したかが、その後の犬の性格形成や社会性に大きな影響を与えます。
問題が起こってから対処というよりも、最初から学ぶことは犬との生活を断然豊かにするでしょう。
犬のしつけ方についてのトレーニングクラスをご利用になった方のみなさんが「早くやればよかった」を口にされます。

犬を飼育した経験のある方には→
中には上手に犬を飼育されている方もいます。特に環境が安定している場合には、上手く犬を飼われている方もいらして関心すると同時に、犬のことをよく理解されているのだと安心してとてもうれしくなります。
このようなご家庭でしたら、幼少期に辛い経験をした難しい犬でも、残りの犬生を楽しく過ごせそうです。

しかし、そうではない飼い主もいます。

過去に飼育しやすかった純血種があると、同じ純血種を飼いたいと思うかもしれません。犬種が同じだから性質が同じということではありませんが、似たような行動の特徴が見られることは確かです。
ただ、犬という動物をもっと知っていただくためには、純血種にこだわらず犬を迎えていただきたいなと思います。

今まで飼っていた犬が大人しかったため問題がなかったが、今回の犬は問題があるという場合もあります。
これは、犬という動物を理解するチャンスでもありますので、ぜひ犬の学校などで学んでください。

・現在犬を飼育している どんな犬を何頭
現在犬を飼育している方が、さらに犬を迎える場合には、多頭飼育になります。
多頭飼育については法律で明確に制限された数はありません。
飼われている犬たちが動物福祉の観点から守られていれば、問題はないでしょう。

ですがあえて個人的な見解で数を上げさせていただきます。
集合住宅飼育の場合は、2頭まででしょう。
多頭飼育は吠えの問題を生みます。集合住宅内での吠えは非常に大きな問題です。
散歩も1頭ずつ行く時間を設けます。そうなると一日3回以上は散歩に出ることになります。
これだけでも大変なことです。

戸建て住宅の場合には、周囲の密集度が強い場合には同じ理由から2頭まで。
周辺が広く田舎環境で、その上犬の世話をする人が二人以上いる場合には4頭までです。
ひとりで2頭の犬の世話をすると考えて、ふたりで4頭、それでも少し多いかなと思います。

収容犬舎での飼育は、家庭で犬を飼うこととは違います。
犬は運動上かクレートケイジなどにいれられ、完全管理されているため、人が犬を飼うということとは別に考えてください。これは飼うでなく収容です。収容する施設のサイズと、世話をする人の人数で決まります。
もちろん24時間体制で世話をする必要があります。

・飼い主の性格と犬に対する価値観
実はこれが最も影響力があるでしょう。
結局、どのような情報があっても、「自分がこのように犬を飼いたい」という願望が先にある限り、人はそれをなかなか飼えることができません。もし犬を飼った後で「思っていたのと違う」というのであれば、それはあまりにも自分の最初の思いこみが強すぎたのだと謙虚に反省して、やり直してください。

やり直し方は二つ、その犬に新しい飼い主を見つけるための里親募集活動をする。
これは大変なことです。特に、老犬、病気の犬、問題行動のある犬、にはまず見つかりません。
犬を大切にして暮らしている方には驚かれることですが、「犬にかみつかれたから誰か犬を引き取ってくれないだろうか。わたしはもう飼うつもりはない。」というご相談もよくあるのです。ほとんどが子犬のころから飼育されていて、甘やかしと放置で問題が大きくなったケースばかりです。問題犬をつくって人に押し付けるのは、最もやってはいけないことです。

ふたつ目は、新たな気持ちでその犬を自分が責任を持って飼うことを決めがんばることです。
不満で飼っていても犬は変化しません。犬はとても繊細で必要とされていないことがわかるのですね。

どちらにしても大変です。

そうならないためにも、まず「自分がこのように犬を飼いたい」という願望が現実に即したものかどうかを、よくよく考えてから決めてください。冷静に考えられる方に相談することです。

あなたの近くで犬を飼うつもりの方がいたら、まずもっと考えることをすすめてください。

犬はすばらしい動物です。
だからこそ、犬との暮らしを犬と共に、豊かに楽しんで欲しいのです。

そのために、犬を飼う前にたくさん考えてください。

mde