グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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吠える、かみつく、言う事を聞かない、問題行動は犬からのメッセージ

なぜこの犬種を飼ったのかという理由に、「知人の犬を預かったらとても大人しかったから」という方もいます。正確には預かった犬が大人しいからという理由が、犬を飼うことは大変だと思っていたけど、こんなに手がかからず楽なのなら私にも犬が飼えそうだと思ってしまった、からかもしれません。

ところが犬を飼うのはそれほど大変なことではありません。特に犬は小型化の傾向があって、小さくなればなるほど問題も小さく思えてしまうからです。

たとえば、犬の吠える行動は他人に迷惑をかけてしまうので、犬を飼うときには心配になるものです。ですが小型化した犬はまずそれほど大きな声がでません。小型犬で大きな声が出るのはミニチュアダックスくらいでしょうか。ミニチュアダックスの場合には中型犬と同じくらいの声量で吠えるため、吠えることが問題になることもあります。

ところが、小型犬は室内に飼われていることが多いです。室内で留守番というケースも多いので、声量の大きなミニチュアダックスであっても、現在の音をシャットアウトできる壁や窓で頑丈に作られている戸建てでは、室内での吠えはあまり問題とされない上に、留守中に吠えているという事実を飼い主さんが知らないことも多いのです。

犬がとびつく行動についても同じことです。大型犬や中型犬のとびつき行動は、自分や他人もケガをする危険性が高まるので問題を解決したいと思う行動のひとつです。ところが小型犬のとびつき行動になると、同じ行動なのになぜか「喜んでいる」と勘違いされてしまいます。大型犬がとびついたときは不機嫌になったり、こわがる人間も、小型犬のとびつきに対しては「喜んでいる」と感じてしまうのは何故だろうといつも不思議に思いますが、それが一般的な心理というものなのでしょう。小さいものがピョンピョン飛び跳ねることはかわいいと思ってしまうのですね。これは思い込みという見方で本質を見失ってしまいます。本来の価値観を捨てて、もっと素直に行動を見ていくとその本質が見えるようになります。つまり、犬がなぜ飛びついているかという犬の心理(気持ち)が読み取れるようになってくるのです。

犬を預かったときに「おとなしい」と感じたのには訳があります。動物には、特に犬という動物には警戒心があって安心できる環境だと判断できるまでは、自分の本質や欲求を隠し静に行動して相手を観察するという能力があります。これは犬が生きていく上でとても大切にしている本能のようなものです。特に雑種犬や警戒心の高い日本犬はこの警戒モードを発揮しやすいので、一時的に預かった場所では大変おとなしい犬になってしまいます。保護犬を一時預かりしたときに大変大人しかったからそのまま飼うことを決めたら、しばらくしてなれるととても乱暴になって手が付けられなかったという例もあります。

人から見ると「猫をかぶっている」という行動にみられるでしょう。表面的には大人しくみえるのに本性を隠しているということです。相手のことを信用できないのですから、犬が本性を隠してもずるいとはいえません。犬にとっては生きるための術ですから、それを見抜けなかった人の方に問題があるということです。

裏を返せば、犬がおとなしくないとか、問題になる行動があるときには、犬が正直に環境に対して反応を示しているということなので、犬は素のままの自分でいるということです。それだけ自分を出すことができる環境であるともいえます。だから、おとなしい犬である必要はないのですが、犬が出している目立った行動はすべて犬の行動を通したメッセージなので、言葉としてちゃんと受け取ってあげましょう。そして犬が必要としていること、犬が安定するために飼い主ができることを提供してあげることです。それが犬のしつけとトレーニングです。

犬が小さくなって小型犬となってしまい、とびついたり吠えたり興奮したりする行動が「かわいい」で終わってしまっては、犬の大切なメッセージは伝わらなかったことになります。犬の不安定で興奮する行動は、「もっと落ち着きたい、もっと安心したい」という逆のメッセージです。

犬を飼うことは大変なことです。その大変さに真剣に取り組むほどに、犬との関係は変化してきて、犬ってこんなにすばらしい動物だったんだと気づくことができます。だから犬の問題行動は本当にチャンスだと思えます。犬のしつけやトレーニングが面倒だなと感じられる方もいるかもしれません。関係をつくっていくというのは小さなやりとりの積み重ねなので、時間がかかるのは当然といえば当然です。時間をかけずにつくった関係はとても浅くあっという間に離れてしまいます。

せっかく犬を飼うことになったのだから、飼い主として責任というような枠にはめずに、犬と暮らすことを思いっきり楽しもうと思ってください。それは犬で楽しむこととは違います。この違いがわかるようになったら、犬との関係は変わっていきます。とても楽しいですよ。

dav