グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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どうすれば犬は落ち着くのか、の迷路

犬の落ち着きについてのブログ記事の続きです。

犬の落ち着きのない行動について飼い主さんがまず思うことは、
「どうすれば落ち着くのか」ということでしょう。

どのようにすれば犬が落ち着けるようになるのかということについては、
犬の生活環境、飼い主の接し方など、飼育環境によって異なるというのが答えです。

居場所やテリトリーの作り方など、環境が犬の落ち着きに関与していることは
言うまでもありません。

さらに「犬の落ち着かせ」については、社会性が影響しているということを、
11日のラジオ出演のときにお話しして、ブログ記事でも紹介しました。

社会性が影響しているというのを、自分たちに置き換えて考えてみましょう。
それは「誰といると落ち着きを取り戻すのか。」ということです。
ラジオでは大田こぞうさんが、
「私は先生といると落ち着いてきます。」とその例をあげてくれました。

「落ち着き」という行動が、周囲に関係性のある存在との影響によって起こることを
誰もが体験したことがあると思います。
誰とどのようにして過ごすのかという「人と犬の関係性」が表出されます。

だからこそ、犬の落ち着きについては注意を払いたいのです。

人と犬がそのような社会的関係を作っていくには多くの時間と空間が必要です。
人の犬への本質的な理解や価値観の影響も強く現れます。

そうなると人によって犬を落ち着かせることが(実際には犬は自分で落ち着くのですが)
なかなかできないため、問題を回避するために対処法を用いる必要が出てきます。

犬のしつけ方や犬のトレーニングのテクニックを用いて犬の行動を抑える、
つまり落ち着いているような状態に見せることはその対処法です。

たとえば、他の行動に置き換えるというトレーニングもこうした手法のひとつです。
犬の落ち着かない行動による問題行動を抑えるには効果的です。

犬にオスワリ、フセ、私をミテ、マテといった合図に従わせることも、
落ち着かない行動を一旦止めることができます。
犬が飼い主の要求にこたえることが日常化してくると、常に飼い主の望むように行動し始めます。
オスワリやフセをして飼い主さんをじっと見ている犬を見かけます。
吠えたり、とびついたり、ウロウロすることもありません。
しつけ練習をされた犬なのだろうなと思います。

ただ、これらの行動は犬の自律的な行動ではないということの区別は必要です。

動物病院や、狭い道で他の犬と遭遇してしまったときや、移動の際など、
犬にとって日常ではない状況や他者との接近では、人による行動管理が必要とされることもあります。

人の生活は刺激に溢れているため、その生活に犬が少し入り込むだけで、
どのように行動したらいいのか犬には判断がつかないこともあります。

こうした状況で犬に合図を出して行動させることは、とても役立ちます。
都市環境では犬の行動管理が必須になるので、犬の自律性は育ちにくいのです。

自律して落ち着ける犬と、人の合図に従って行動する犬は異なるということです。

犬が自然に落ち着きを取り戻す環境や関係性を築くには時間を必要とします。
犬の成長は1~2年くらいで、人と比べればわずかな時間です。
それでも、その間を親犬のように始終いっしょに過ごすということは実現されにくいようです。
仕事や子育てで忙しい飼い主や、都市部の限られた環境の中では限界が生じます。

できるかどうかは別として、大切なことなのでお伝えします。

犬の落ち着かせは「犬の本性」の一部です。
犬が備えている貴重な社会的機能を、動物として継続して引き継いでいくには、
その機能を今生きているこの犬生で活用することです。

犬の自律した落ち着かせ行動や、落ち着かせによる社会的な能力を発揮できるような成長の機会を、犬を育てる方がつくっていただければと思います。