犬にも動物が成長し生存していくために必要な「欲求」があります。
食べ物を食べたい、水を飲みたいというのも、その欲求のひとつです。
犬には様々な欲求があり、その段階も様々です。
人間心理学では、欲求を段階分けにして提唱した、心理学者マズローの
三角形の欲求の階層図がよく知られています。
犬も同じような欲求を持ちますが、その重要性は犬の成長や発達の段階、
犬の経験学習を含む性質によって、かなり異なっています。
人の欲求についても階層制を否定する専門家もいるようです。
人も犬も環境が複雑になることで欲求にも変化が生じる、ということかもしれません。
特に基本的な欲求の段階については、犬のいろいろな情報を得ることができます。
犬の基本的欲求とは、犬が個体として(犬自身として)犬という種として生存し、
それが維持され存続するために必要な欲求です。
食べ物や水を得るという生理的欲求は、基本的欲求に含まれます。
そして生理的欲求と同じくらい大切な社会的欲求も、基本的欲求のひとつになります。
イヌは社会性が高い動物であるということをこのブログでくり返しお伝えしてきました。
どのクラスのときも、イヌがいかに社会性の高い動物であるかということをくり返しお話しています。
私たちヒトも、同じように社会性を備える動物です。
イヌとヒト。どちらも社会性の高い動物であるため、その関係も特別なものになりえます。
イヌという種は、社会性を高く備えていることで、種としての存続が可能なのです。
これまでに多くの犬に関わってきましたが、すべての犬において社会的欲求の高さを感じる行動を見ることができます。
特に社会的欲求が高まるのは、生後3ヶ月~2才位までの少年期にあたる時期です。
生後2ヶ月までの子犬が、親犬に依存的に世話をして食べるものを与えられる年齢から
群れのグループの中にはいって役割をみつけ群れとして行動しはじめる年齢です。
犬にとって大切なことは、社会的コミュニケーションを身に付けるということ。
その過程を通じて、人という群れの一員となることです。
だからこそ、社会的欲求は、犬という動物の中では高い位置にあります。。
ところが、社会性を身に付けることができずに成長してしまった成犬の欲求は、
他の方向に偏ります。
起こりやすいのは食べる欲求に偏ることです。
「食べること」に欲求が偏ると、こんな行動が見られることがあります。
食べ物のにおいをかぐと行動が不安定になりウロウロしはじめる、
テーブルの上に食べ物を置いておくと勝手に取って食べてしまう、
食べ物がでる気配を感じると興奮して多動になったり飛び跳ねたりする
などです。
欲求が偏ると執着という行動で現れます。
犬はよく食べますが、食への執着は元気で食欲旺盛というのとは、異なる行動です。
他にも社会的な欲求が抑えられていることがあります。
特別なケースは、精神的病理状態に置かれており欲求行動が不安定になっている場合です。
また社会的な経験をする機会や環境た整わずに過ごしていたことで、
人は食べ物と寝る場所を与えてくれるだけとコミュニケーションを求めなくなることもあるでしょう。
もし現在、社会的なコミュニケーション欲求が高いと感じるなら、それはチャンスです。
コミュニケーション欲求が高いと、人にとっての問題行動が多発することもあります。
問題行動の症例は、また次回ご紹介します。
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熊本被災ペット支援ネットワーク
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