福岡県内ばかりでなく佐賀近辺でも、最近は純血種が増えたと感じます。
ミックス犬、いわゆる雑種犬をほとんどみかけなくなりました。
田舎の七山地区でさえ、純血種を飼っている方がたくさんいます。
「純血種を飼っている人がすごく増えているんですよね。」
と生徒さんにいうと、思いもよらぬ言葉をいただきました。
「雑種って、どう飼ったらいいのかわからないのだと思うんですよね。
ここで犬のことを勉強して、純血種も大変なことがわかるようになったんですけど…。
純血種だったらミニチュアダックスの育て方とかいう本がありますよね。
なんだか、それで育つような気がしたんですよね。」
実は、この方も純血種を飼っています。
なるほど。犬を飼った経験のない人ならではの発想だなと思いました。
私も育てた経験のない観葉植物を買ってきたら「ランの育て方」などの本を読むと思います。
でも、果たしてそれでうまくいくでしょうか。
きっと私はランを枯らしてしまうと思います。
「●●の育て方」で成功するためには、少なくとも二つのものが同じでなければ難しいと思うのです。
まず、種が本掲載のものと同じものであること。
(実際には、何年にどこでとれた種かということで、厳密には育ち方は違うのでしょうが。)
次に、育つ環境が同じであること、です。
鉢植えの中の、土の種類、水の量、湿度、温度、日照について、など、
環境を全く同じにすることで、同じようなものができあがります。
商用の植物は厳密な管理により、一定の条件を維持することで育てられています。
犬はどうでしょうか。
まず、種が一頭ずつ異なります。
同じ親から生まれた兄弟犬といわれる犬たちでさえ、その性質は様々です。
純血種の兄弟犬は形や顔がよく似ていることはあります。
ですが個性については、本当にバラエティに富んでいます。
それがイヌの特徴でもあるのです。
純犬種は、繁殖により強化された行動があります。
ラブラドルリトリバーであれば、物を持ち運ぶ行動です。
歩くようになると同時に始まります。
ボーダーコリーであれば、視覚的に獲物を捕らえる行動です。
この行動を操作することで、羊をコントロールする使役作業をさせています。
ただ、これは強化された行動があるというだけです。
それは、育て方の中に「注意点」としては入りますが、
「●●の育て方」としてまとめられるようなものではありません。
人の兄弟姉妹も同じですね。
同じ親から生まれて、同じものを食べて同じ服を着せて同じ家で育っても
全く違う性格をもっていると思いませんか?
犬の育つ環境も様々です。
室内、屋外、部屋の大きさ、周囲の環境、高さ、家族の数、出入り、散歩の時間
人の接し方、家族の関係など、環境にあるすべてのことが犬の成長に影響します。
本の中には、基本的な犬の習性について書かれているものもあるかもしれません。
だとしたら、その本の内容は「犬の行動と習性」です。
「●●の育て方」は、ハウツー本が流行る中での戦略なのかもしれません。
雑種犬についてはどうでしょうか。
私は「ランの育て方」を読んで、ランを育てる自信はありませんが、
雑草なら育てられるかなと思います。
育てられるというコトバは、適切ではありません。
雑草が健康に育つ環境を整えることならできるかなと思います。
ということです。
植物も環境が悪化して、育ちきれないときはいろんなメッセージを伝えてくれるでしょう。
葉の色が変わる、背丈がのびない、臭いがする、虫にくわれる、しおれる…とかでしょうか。
犬も育つ環境がきちんと整えられていないことを、いろんな方法で伝えてくれます。
くり返しになりますが、育つ環境の中には、飼い主さんと過ごす時間、接し方
コミュニケーションの質、管理のし方など、飼い主さん素材がたくさん含まれています。
犬育ては、雑種も純血種も同じです。
現在では、むしろ雑種犬の方が手にはいりにくくなっています。
純血種と純血種をかけあわせたミックスは雑種犬ではありません。
純血種が雑種と交配をしたあと、その後も雑種の中で遺伝子を広げていけば
いずれ雑種になります。
雑種はザ・犬なのです。
雑種犬が面白そうだなと思った方、きっといい出会いがありますように!
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熊本被災ペット支援ネットワーク
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