山羊の名前にアール・ゼットその由来とは
山羊につけた名前は「アール」「ゼット」。昭和中期を生きた男性なら聞き覚えのあるRZという単語は、ヤマハのバイクの名称です。
ダンナくんが自分の命の次に大切にしているバイクの名前を山羊につけたのは、RZ同様に大切にしてもらえますようにという私の願いからでした。
ヤマハのRZは今は生産中止となった2ストロークエンジンを乗せたバイクで「白い棺桶」と言われたいたくらい、走り屋にとっては魅力的かつ扱いにくいバイクなのだそうです。
その子山羊のアール・ゼットですが、名前の与えたエネルギーが強すぎたのか、彼らは山の学校で暴走しています。
仔山羊にも個性がある。走りのアールと鳴きのゼット。
色の白い方がアールで黒いの方がゼットです。山羊にも個性があるのですかと聞かれることがありますが、もちろんあります。
姉妹山羊のアールとゼットですが、動きや行動のパターンが違っています。
「走りのアール」と名付けた白い子山羊の方は、小さいころから動きが俊敏でした。
高いところへのとびあがりやすべりやすいべニア板の上でのバランスも、ゼットよりも圧倒的に良く体も軽くうごきます。
「鳴きのゼット」と名付けた黒い子山羊は、引き受けた当初の親を呼ぶ鳴き声がメエーなどといった牧歌的なものとは程遠いギャー鳴きでした。
こんなに小さな体からどうやったらあんなに大きな声が出るのだろうというくらいの大きさのべえーーーーという大音量を発していました。
ゼットの方はアールよりも好奇心が旺盛で、新しいものに積極的に近づきます。
犬たちとの接し方を見ていても、アールは下がりながらですがゼットは前進します。
どちらかを繋いでいるときの行動も違います。
アールを繋いでいるときはゼットはかなり遠くまで離れることがあります。
一度はアールを置いてトレッキングについてきてしまいました。
逆にゼットを繋いでいるときは、アールはあまり遠くまで離れません。
来客に対しても、ゼットは積極的に近づいたりとびついたりすることもありますが、アールはそれほど積極性はありません。
同じ遺伝子を持っていて2頭はつねに離れずに行動をしてきたのですが、こうして性質の違う個体になっていくのですね。
行動だけでなく、体格や表情もそれぞれに違いがあります。
柵内に収まらず活動を広げるアール・ゼット
最初の2ケ月ほどは逃走を注意して夜も柵内で係留するなどしていたのですが、そもそも敷地が平らでなく山の斜面を囲むようにして山羊スペースを作ったため係留による首つりの事故を大変心配していました。仔山羊が慣れてきたら柵内にフリーで活動できるようにと簡易の柵を作った上で、簡易柵の周りの強靭な木製の柵をダンナくんが作っていきました。
そして夜は柵内でフリーにするようにしていたのですが、いつも朝になるとゼットが柵の外で散策しています。
アールの方が運動能力は高いはずですが、ゼットの方が頭が回るため柵から出る方法を身に着けたようです。
簡単に柵を超えられるのですが、逆に入るときには入口の方に戻っていきます。
じゃあ出入り自由にしてしまったらいいのではないかという結論に達し、柵の入り口付近を開けたままずっとフリーで活動するようになりました。
完全にフリーで活動するようになって1ケ月近くになりますが、ふたりで出かけていき勝手に戻って休憩したりと昼夜を問わず出入りを繰り返しています。
活動の範囲を広げて動くアールゼットに反応をしない犬たち
出かけていく方向が山の方角の時には「いってらっしゃい」と手を振るとふたりでゆっくりと草を食べながら消えていきます。しかし、問題となる方向がひとつあるのです。
広場前の車道を下道に降りていくアールゼットの姿を見ると捕獲しに行かなければいけません。
車道の前の家はすでに空き家でその空き家の草を食べていることもあるし、お隣さんの庭に入って草を食べているのを発見したこともあります。
道路に飛び出して車が事故を起こしたりと大事になってはいけないので道路方向に行かないようにと常に気をはっています。
山羊たちはわざとではないのでしょうが思ったより静かに移動するため、最近ではカウベルを首に装着しています。
広場前を通って見過ごしたときに犬たちが吠えて教えてくれれば助かるのですが、人には吠える犬たちが山羊には吠えないのです。
犬たちも「あれ~」という感じで山羊が通行するのをじっと見守っています。
むしろ猫や他の動物の方が反応をするのに、なぜ山羊ならスルーするのか不思議です。
私たちがアールゼットを追いかけて制御しているのを犬たちはわりとおとなしくじっと見ています。
人間が制御できる動物だということを犬たちがわかった上で観察を続けているだとすれば、アールゼットに好き勝手させるわけにはいきません。
動画は災害で壊れたテラスで場所取りをするアールゼットですが、テラスの上ではわたしがテリトリーを主張しています。
どんな動物にも居場所取りは大切なコミュニケーションであり関係性を深める機会でもあります。
(動画の中の鼻なき声はこの風景を見ている犬ちゃんの声です。)
山羊を観察するだけでなく、山羊との関係性を深めるためのいろんな活動があります。
犬と山羊を比較しても学ぶところが多いのですが、やっていることはとても役に立ちそうにない大したことのないことです。
そんなことが日常に起きているだけで楽しくなります。
アールゼットの成長が楽しみです。