いつも当校のクラスをご利用いただきありがとうございます。
来年の一月に休業日をとらせていただ年きますのでお知らせいたします。
2026年 1月 16日~ 23日
皆様にはご協力とご理解を賜りお礼申し上げます。
グッドボーイハート スタッフ一同
いつも当校のクラスをご利用いただきありがとうございます。
来年の一月に休業日をとらせていただ年きますのでお知らせいたします。
2026年 1月 16日~ 23日
皆様にはご協力とご理解を賜りお礼申し上げます。
グッドボーイハート スタッフ一同
限られた時間の中で自分が手にとって完読できる本はわずかしかありません。しかもそれがある程度の分量の多い書籍になると手に取ることも控え、読み始めても興味をなくしてしまうこともあります。
今回ご紹介する本「自然を名づける」は、ネット書店を検索しているときに偶然に発見して一年以上前に入手したものです。なかなか読み始めることができず、やっとこのたび手にとり読み始めるとあっという間に読み終えてしまいました。
この本に関心を持ったのは、帯の一言「天才リンネから始まった生物分類学は…」という部分でした。帯は書籍を手に取る上で重要だということを学んだばかりですが、まさにそのとおりの流れでこの本を手にとったのでした。
分類というのは日常生活の中にあふれています。動物と生物を分ける力やたくさんの種類のあるイヌをすべてイヌとして受け入れられる力も学んで身に着いたものではなく、脳がいつの間にか身に着けている、ある意味では生得的な能力であるようです。
この本の中にも紹介されていますが、脳の一部を損傷した人のケースでは、無生物の名前や区別はできるのに生物や動物といった自然界の生きているものを区別することができなくなったという例も紹介されています。著者が語るには、人は生物界の秩序=自然界の秩序を理解できるように進化してきたのではないだろうかというところから本書はスタートします。そしてそれは人間独自の環世界から見えてくるものだと発展していくところが、とても興味深く一気に引き込まれました。
帯の「天才リンネ」とは、分類学の父、スウェーデンの学者であるカール・フォン・リンネのことです。分類学というものを生み出した学者ですが、そのリンネの分類の仕方はリンネ自身の環世界によるものであったというところも驚きでした。環世界とは、それぞれの動物が持つ世界で、イヌにはイヌの見える世界があり、ヒトにはヒトの見える世界があり、ダニにはダニの見える世界があるということで、動物によっても違いがあり同時に個体によってもさらに違いがあります。どうやらリンネ先生は自然の秩序を感じ取る独特の環世界をお持ちであったようで、そのことが分類学を一気に飛躍させる結果になったらしいのです。
この本を読み始める少し前に、ある生徒さんから朝日新聞の切り抜きをいただきました。2025年8月7日発行の「明日へのレッスン」というコラムで、ヤーコブ・フォン・ユクスキュルの「生物からみた世界(岩波文庫発行」)について紹介したコラムでした。生物からみた世界はこのブログでもおすすめの本として紹介しています。ユクスキュル先生の提唱したとおり、まさにこの世界は固有の主観的な世界に他ならないのでしょう。
その理解の上で分類学の起こりと発展の流れについてみていくと、その主観もどこか繋がっている部分が見えてきます。結局、分類学は感性から科学へとその手法を変えていき、最後には分子の世界へとより道具の中でしか見えない世界へと変わってしまいます。
単なる一般人である私としては、あえて顕微鏡を通して見る世界ではなく、自分の眼や鼻や皮膚などの知覚と感性を通して感じる生物の世界を楽しむ世界であり、またそれこそが自然のセンスとつながる唯一の方法であるという結論に至りました。
先日も山の中を歩きながら秋の野草を写真撮影して検索して名前を調べるという作業をしました。ヒメツルソバはタデ科イヌタデ属など、調べると植物たちの関係もわかって楽しいものですが、なんとなくソバっぽい葉っぱをしているので近い種類なのかなと想像を膨らませることもまた楽しいものです。どちらにしても日常で関わることのできる身近な植物や動物がたくさんあることは確実に生きる時間を楽しくしてくれます。

もう数年前からダンナくんが要望していた「ダンナくんの帰郷」の願いを叶えるために、皆さまにご協力いただいて数日のお休みをいただくことができました。
ところが、休日を直前にしてダンナくんが左手を骨折するという事故が起きてしましました。そこでダンナくんは帰郷計画を断念して治療に専念することになりました。そして、私はそのお休み時間を犬のジェイと満喫することにしました。

遊覧船が通過したあとに起きる波と風を感じて踏ん張るジェイ

ヤギは 犬のジェイとヤギのゼット(中央)、アール(左端)
果実は利尿,解毒作用があり,二日酔い,嘔吐,口渇のほか,大小便不利にも用いる.中国では幹の汁をわきがに外用する.樹皮の煎液は消化不良に服用,痔に外用する.葉も二日酔いに煎液を服用する.
太く肉質になった果柄は非常に甘い.(熊本大学薬学部薬用植物円植物データベースより引用)
ケンポナシはまっすぐいに育つ太い幹を持つ樹木なので家屋にも利用されていたようですがケンポナシの柱を使うと酒が水になるといった文章も見つかりました。うちは人も含めてお酒には縁のない暮らしですが解読作用もあるということですから、当面の間は食べて良しとすることにしました。
尾歩山のケンポナシは移転時の山の手入れの際に二本を植えていただいたという記録が残っています。しかし実際に尾歩山にあるケンポナシは5本くらいあります。モミジよりも早く成長して種を高く飛ばした結果、自生しながら増えていったようです。
ケンポナシの実は昨年も落ちていたのですが、山羊たちがこの実を食べていたかどうかをあまり覚えていません。昨年のこの時期はジェイ広場作り(当時は名前なしの広場)に没頭しており、山羊たちとゆっくりと散策する時間を持てていなかったのだろうと反省しました。

中央の木がケンポナシの木
イヌタデの薬効には、胃炎や健胃作用、回虫駆除、利用作用、解熱作用、そしてマムシに咬まれた際の応急処置などがあります。(AIによる概要から引用)
マムシに咬まれた際の応急処置としては葉を絞って傷に塗るらしいのですが、覚えておきたいと思いました。
こうした薬効成分があることを知らずにイヌタデの葉をむしって食べるジェイを見ながら、人に近づきすぎた犬もまだ動物としてまだ忘れることのない情報や行動を持っているのだなとほっとします。

制作途中のテラスの上で休むジェイ

テラスでおうちカフェ
やっと冷たい風が山の中を通り抜けるようになりました。
飛び虫たちがいなくなりリンリンと鳴く虫が増えて、長袖で活動するのが心地よいと感じるようになると秋到来です。
都会はもちろんでしょうが山でも夏の暑さが長引き、この季節が来るのを待ち望んでいました。
季節の変化を感じられたのか10月のグループトレッキングクラスは参加者も多くにぎやかでした。
新しく参加した犬達は集合のときが一番緊張するようですが、順番に並び始めると次第に落ち着いてきます。
一列になって山へを歩き始めるととても長い列になりましたがみなリードをたるませた状態で飼い主さんと協力しあって前進していきます。

こうして犬と山を歩く飼い主たちは、もともと山歩きが趣味なのだと思われがちですが、実際は全く違います。ほとんどの飼い主が犬と暮らしていなければ山歩きなどすることはなかったという方ばかりです。犬と暮らしたことで自分が過ごす時間が今までは違うものになったのです。
この考えはとてもシンプルなもので、犬にとって心地よく過ごせる場所はどこだろうと考えたときに誰でもが思いつくことです。最近は犬のペット化や擬人化が進んだことで、汚れるのが可哀そうとか土の上を歩くなど想像ができないという発想になり、犬と山を歩くというとても自然な活動をしない飼い主の方が多数派になりました。
ですが、他者の考えはどうでも良いのです。考えなければいけないことは、自分の犬にとって何が良い時間なのか、良い場所なのか、自分の犬が必要としているのは何なのかを飼い主自身が考えることです。それを自分で考えることができず、大勢の人がやっていることをただ流れるように真似をするのはもったいないことです。
グッドボーイハートでは犬と山を歩く活動を大切にしていますが、強要はいたしません。ただ一度も山を歩いたことがないなら、一度くらいは試してみてはいかがですかとお誘いすることはあります。そんな小さな体験を通して山の中で活動する犬の表情から何かを感じることができれば、犬と山で過ごす時間を選択する飼い主も増えていきます。
もちろん数は関係ありません。一頭でも山に来る犬がいればそのことだけでとても嬉しくありがたく思えます。グループトレッキングはそんな飼い主さんたちが集まる会なので月に1回ですがとても貴重な時間です。
山歩きの後は対面のクラスを開催しました。
対面のクラスは若い犬達が盛り上がる時間ですが、若い犬の挑戦を受けてくれるお兄ちゃんやお姉ちゃんもいます。ワイワイとにぎやかに盛り上がりました。シニア犬たちはリラックスして見学していました。
来月のグループトレッキングは11月23日の10時からです。一頭でも開催いたしますのでご参加の方はご連絡下さい。
先日(10月22日)にラジオ放送局LOVE.FMの番組「月下虫音」で、グッドボーイハートの本の冒頭部分が朗読で紹介されました。
前日にこの番組のパーソナリティの太田こぞうさんから連絡を受けたので、ダンナくんにもそれを知らせ、私は福岡レッスンディだったので福岡でこぞうさんの声を聴いて癒され、ダンナくんは七山でありとあらゆる手をつくしたようで無事に放送を聴いたそうです。
数日後オポハウスに戻ると、ダンナくんのテンションが異常に上がっていました。ラジオ番組で「宮武佐千子先生の本が出版されました…」と流れたことだけで興奮してしたらしいのです。そして、私と太田こぞうさんの関係について、たくさんの質問を投げかけてきました。
ダンナくんは月下虫音を聴いたことがなかったそうですが、この番組はとても長く続いている素敵な番組です。生き物を愛するこぞうさんだからこその世界観があります。こぞうさんは虫のことならなんでも知っている虫博士で「虫ちゃん」という愛称もついているほどです。
そのこぞうさんはパーソナリティだけでなくテレビ番組のナレーターなどのお仕事もしていて、犬関係の知り合いを通してグッドボーイハートにやって来られました。当時はまだ博多駅南に学校がある時代で、通学という形で犬の行動学の座学を勉強しに来られていたのですが、ちょうどこぞうさんのクラスが終わるころに七山への移転が決まったため、こうぞうさんは私のこと、オポのこと、私達が七山に移転した経緯についてもよくご存じでした。また、移転に際しいろんな意見があった中で、私たちが山に移転することを喜んで下さった理解者のおひとりです。
こぞうさんの最後のクラスを移転したばかりのオポハウスで開催したのですが、この日に事件が起きて私が裏山で遭難してしまい、こぞうさんが山の中で竹を打って音を鳴らして私に戻るべき場所を示してくれたことなど、懐かしく思い出しています。この事件についてはまた、オポハウスの伝説としてじっくりとご紹介したいと思います。
おのこぞうさんも今は犬達との山暮らしが始まり、豊かで美しい時間を山の中で過ごしていらっしゃるようです。その過程についても大変な労力と時間を費やされただろうと想像できるため、よくぞここまで辿り着かれたなと感動しています。
グッドボーイハートという場を通してたくさんの人々との出会いがあり、どの出会いも大切で学びの深いものですが、こぞうさんは特に犬について深く語り合うことのできる貴重な友です。こぞうさんの自然と関わるセンスは特別なものなので、こぞうさんがどのように自然の中でそのセンスを使いまた磨いていくのかをラジオを通して聴けるのは有難いことです。
グッドボーイハートの本の朗読についてはこれからも時々やります、との連絡を受けています。私自身は自分の書いた本の粗ばかりが見えてしまい逃げ場があれば隠れたい気持ちでいっぱいになりましたが、普段から犬達に「逃げるな」と言っている立場上、逃げずに等身大の私を受け止めたいと思います。
月下虫音(げっかちゅうね)の番組情報
犬のジェイとオオスズメバチの出会い、オオスズメバチと私の戦いについての記録です。前編はこちらからどうぞ。
犬のジェイとオオスズメバチ【前編】
後編に続きます。
前編では、ジェイと小型犬くんとわたしが三匹のオオスズメバチから退散して広場を出るところまでをお話しました。このままでは広場が使えないため、オオスズメバチを広場から追い出さなければなりません。
いつも大切なときには何故か現場にいないダンナくんは、やはりこの日もオポハウスを不在にしていました。しかし、夕方になるとダンナくんの弟子としてお手伝いに来てくれているとしちゃんが来ることがわかっていました。30代の男性だから頼りになります。
作戦を立てるために、唐津で農家をしている生徒さんに状況を連絡し、何か秘策があれば教えて欲しいという旨を相談しました。生徒さんはすぐに連絡を下さり、良さげなネット情報を教えて下さいました。
その対策とは、木酢を使うというものでした。木酢をクヌギの木につるしたり振りかけたりするとオオスズメバチが近づかなくなるらしいのです。木酢は様々な虫よけとして日常的に使っており、オポハウスには大量に常備してあります。早速、ペットボトルに木酢を入れて樹木に下げる備品を樹木の本数ほど準備しました。
しかし、現在オオスズメバチが集まっている木に近づくことはできません。夜になればきっと山に帰っていくはずだからと待ち続け、21時くらいになって作戦を開始することにしました。私ととしちゃんは養蜂用にもっている簡単な防御服を着て、念のためにライトを軽く照らして、さらには念のためにスズメバチ用の殺虫剤も準備して現場に向かいました。
オオスズメバチさんたちもこんな時間には山に帰っているはずだと思い見に行くと、なんとまだ同じ場所に三匹のオオスズメバチがいたのです。夜になったのに巣に戻らず、クヌギの樹液にみなで集まっています。これはもう直接対決しかありません。
犬の過ごす場所なので殺虫剤を使いたくないのですが、このままではもっとたくさんのオオスズメバチが集まってきて誰かが大怪我をしてしまいます。今回は仕方なく殺虫剤で追い払った後に、木酢を木にスプレーして、木酢ボトルをぶら下げて、わかりやすいように小枝を切って整備をしました。翌日になるとオオスズメバチはいなくなっており、飛んでくるオオスズメバチも木にとまらずUターンしていく姿を見て、広場の安全を取り戻したとほっとしていました。
しかし、そのさらに翌日にはまた二匹のオオスズメバチがクヌギの木に戻ってきました。樹液がたくさんでているようでいつも同じ木なのです。スプレーした木酢の臭いが薄くなってしまったのかもしれません。その後はオオスズメバチを見つけるたびにスプレーを遠慮なく降って追い払っています。大きいのでスプレーが当たっても死ぬことはないのですが、何もしないと占領されてしまうので防衛としてやっています。
預かっている犬達はスプレーをもって立ち上がる私の姿の方に注目していますが、ジェイのようにオオスズメバチにそのものに反応する犬はいませんでした。オオスズメバチは他のハチと同じように黒いものに攻撃するという習性があります。なぜ黒い色なのかについてはいろんな説があるようですが、この習性は間違いありません。
しかし、防衛作戦が効果を上げているようで、広場には安全と安心が戻ってきました。ジェイもその後は大きな反応をすることはありません。
前編にも書きましたが、野生の生物と犬の関わりにはリスクもありますが学びもあります。どこまでを見守り、どこから管理すべきなのかの判断には迷いがでることもあります。もちろん、預かっている犬達であればリスクよりも管理が重要です。しかし、自分の愛犬となると、管理よりも多少はリスクありの方に振れてしまいます。生物との対話で学ぶことという貴重な体験をすべて奪いたいとは思いません。
オオスズメバチはまだ活動期です。今年から来年にかけて、ジェイがオオスズメバチとどのような対話をしていくのかが楽しみです。しかし、黒いから対話なしに攻撃されてしまう可能性もあるのですが、どうだろうねジェイ。

自然という環境の中で犬といっしょに活動することにはたくさんの楽しみがあります。中でも貴重な体験は、犬が野生の生物たちとどのように関わるのかを見ることが出来ることです。
先日出版したグッドボーイハートの本の中にも、犬のオポがヤマカガシというヘビと遭遇したときの様子について書きました。よくいう「もし犬が○○に出会ったら」とか「もし犬が○○と戦ったら」みたいな感じでいろんな想像をするのですが、その想像を超える現実が目の前にあったら本当にドキドキが止まりません。そして今回は、犬のジェイとオオスズメバチについての話です。
黒ラブのジェイは山の学校で暮らし始めてから10ケ月が経ちます。しかしまだ一シーズンも超えていないので、出会う生物も植物もみな彼にとっては新しい対戦相手ということになります。
ジェイは生後一歳九カ月まで訓練施設に入っていました。ジェイの子犬時代について詳しくは聞いていないのですが、ジェイの山に来たばかりの体の使い方を見る限りでは、ジェイは山で過ごした時間はほとんどないのではないかと思っています。都市空間で育ったジェイが山の中で出会う生物にどのような反応を見せるのか、見逃してはなるものかと真剣に見守っています。
先日、オポ広場にジェイと預かりの小型犬の二頭と共に過ごしていました。どちらも草を食べることが多く、この日も地面をくんくんと嗅ぎながらそれぞれにお気に入りの草を探して歩いていました。私は日陰を見つけて腰を下ろし、二頭の様子を伺っていました。
すると、ジェイが数本のクヌギ(どんぐり)の木の下で、突然自分の大腿部あたりに鼻先を向け、次の瞬間には上を見上げました。この反応は、「誰かに攻撃を受けた、しかもそれは上からやってきた」です。そしてくるりと回ってもう一度上を見上げました。
この反応が特に大きな動作だと感じた私は「スズメバチか…」と予測し、「ジェイ、カム」と呼びの合図をかけて私の方に引き寄せました。私とジェイの距離は20メートル位です。何かの虫に集中していたジェイは、一回目の合図には反応しませんでしたが、二回呼ぶとこちらに走ってきました。
犬が虫などの生物に対してやっていることを止めるべきか見守るべきかは、瞬間的な判断が必要です。全てを止めるべきではないが、状況によっては管理も必要です。スズメバチはこちらが攻撃すると反撃に転じることもあります。それが一匹ではなく複数になることも想像されるので反射的は攻撃はデメリットが多すぎると判断した上で、合図での管理をしました。
ジェイが私の元に走ってきたあとに状況を確認しようと立ち上がると、ジェイが再び木の下に走っていきました。そして、木の下で顔を上に向けて回っています。鼻先で危険な何がなんであったのかを確認しようとしています。一旦は私の元に来たもののすぐに戻っていくということは、ジェイは攻撃を受けた何かに執着している状態だったということです。それが何であるかを確認するという作業がまだジェイの中で続いていたということです。
犬が自然環境の中で危険を感じることなどよくあることです。その危険度も低いものから高いものまで様々にあり、危険度の高さは攻撃を受けた度合い、その気配の音や色やにおいなど様々な情報によって決められます。ジェイの頭上で飛ぶ昆虫は樹々の間に隠れて目視することはできません。おそらく音と臭いが気配となって伝わってきたはずです。
これらの対面は、当然のことながら経験の多いものは落ち着いて対応し、経験の浅いものは興奮してしまいます。自然環境での活動が未熟なジェイの動きは、興奮が高い上に執着が強く、これ以上の探索は危険だと私が判断しました。ジェイを再び呼び寄せて、遠くの木に係留しました。
もう一頭の犬はこの全ての状況に全く気付いておらず、草をにおう散策を離れた場所で行っていたので混乱を避けるためにこの犬の方には声をかけずにそっと現場に近づいて状況把握を開始しました。
そして木に近づいてビックリしてしまう風景を見たのです。クヌギの樹木のちょうど私の目線よりと同じくらいの高さに、三匹のオオスズメバチが集まって活動しているのです。オオスズメバチといえば世界最強のスズメバチです。ご親切なことに黄色と黒色のはっきりとしたボティで「危険ですから近づかないで下さい」とメッセージをくれています。
これはまずいです。絶対にピンチの状況です。振動に敏感なオオスズメバチを刺激しないように、すばやくしかも静かにジェイのところへ戻って首輪を持ち、同時に小型犬の名前を呼んで出口の方に移動を始めました。
ところが、いつもはすぐに走って来るこの小型犬くんが草に夢中になっているようで私の合図に気が付きません。オオスズメバチを恐れて大きな声を出せなかったのもありますが、とにかく早く広場を出なければと、念を入れて名前を呼び続けるとはっと気づきこちらに走ってきました。そして二頭とわたしは無事に、広場を出ることができました。
しかし、オポ広場はオオスズメバチに占領されたようなものです。
オポ広場を奪還せよ!
ミッションがスタートしました。後編に続きます。

※変更あり
いつもお預かりクラスをご利用いただきありがとうございます。
お預かりクラスについてのお知らせです。
●お預かり休業日について
11月は休業日はありません。
12月 休業予定日 18日、19日、20日
●年末年始の送迎サービスのお休み
12月26日~1月6日までは送迎サービスをお休みさせていただきます。
●年末年始料金について
12月24日午後~1月10日午後までのお預かり料金は以下のとおりです。
24時間 6600円
延長料金 2時間につき1500円
送迎 3000円(福岡市唐津市以外の方は通常料金+500円)
年末年始のお預かり希望は受付中です。ご予定がお決まりの方は早目にご連絡下さい。
以上のとおり、宜しくお願いいたします。
やっと「Jの日」がやってきました。
「Jの日」とは、お預かり犬たちがいない上にレッスンにも出かけないし来客もない、簡単に言えば休日ということです。ジェイを2月に迎えて以来、計画していたJの日はいろんな理由で消えていってしまい、ジェイが家に来てから初めてのJの日を迎えることができました。
家でゆっくりと過ごすというプランもあったのですが、どうしてもジェイを連れていきたい場所があり、ダンナも一緒に出掛けました。
その場所とは、オポが若いころからお世話になっていた知人の住む川沿いの家で、都会に住んでいたオポのオアシスになっていました。当時はその先輩も犬と暮らしていて、山の中にある犬と暮らす生活が女性でも可能なのだと教えてくれたのはこの場と知人でした。
ジェイを連れていくと知人はすぐに渓谷の方に案内してくれました。
オポとなんども通って川登りをした場所を久しぶりに訪れたことで懐かしい気持ちがこみあげてしまい、草履を履いていたのに思わず岩の上に登ろうとして滑ってキャーという状態でなんとか手で着地をしたものの思いっきり腰をひねってしまいました。
あれから20年…なのですから転倒するのも当たり前です。自分の年齢も20歳重ねてきたことも全く忘れているほど時間というのはあっという間なのですね。
いつも自然の中で過ごしていて川にも慣れているジェイの方はあまり興奮した感じはなく、私やダンナが行く岩にはついてきました。今年はもう寒いので来年また川登りをしに来ようねと約束しました。
そして、もうひとつの思い出の場所にもジェイを連れていきました。この公園は七山地区の横にあるため池のある公園です。オポと七山に引っ越したときに、オポがプール替わりに利用していた場所です。
生徒さんたちともよくトレッキングコースとして利用していましたが、3年前に線状降水帯の被害があったことで道路の破損も見られたため出向くことがなくなっていました。
今回久しぶりに訪れたのですが、やはり公園は利用禁止になっており、ため池周辺の樹々も手入れがされないまま放置されていました。
しかし大きなため池は健在で、ジュンサイが群生していました。懐かしくなって近くまで降りていきました。ジェイが池に自分から入るかどうかを見守りましたが、足先を水に着ける程度の興味は示したものの私も入らないのですから入ろうとはしません。
特別怯えた感じもないのですが、あえて飛び込ませる理由もなかったのでしばらく散策して過ごしました。くんくんと水から漂う匂いを嗅ぎながら初めての自然の中へのお出かけを満喫してるように見えました。
オポハウスが最高にすばらしい場所なので出かける必要もないのですが、ジェイは車で出かけるときには少し興奮した感じで車に飛び乗り、小さな冒険を楽しんでいるように思えました。
また、機会を見つけてちょっとした冒険旅行にいこうと思います。
私の方は転落時に大きくひねった腰の痛みで、仕事に多少の影響を及ぼしていましたが、現在は快復に向かっています。あれから20年…をいろんな意味で胸に刻み「若くない、でもまだできる」と、引き続き満身創痍で挑みます。
当ブログでもなんどか触れ、ホームページの私のプロフィール欄には尊敬する人としてご紹介しているジェーン・グドール博士が、10月1日に91歳で逝去されたとニュースを拝見しました。まずは、深くご冥福をお祈りするとともに、博士の動物に対する愛の深さに感謝いたします。
ジェーン・グドール博士についてあまりご存じない方も、チンパンジーが道具を使うことを初めて野生のフィールドで観察して発表した人だというと覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。もしくは、黄色い枠の雑誌、ナショナルジオグラフィックの表紙で森の中を短パンで歩く、美しく若い女性の姿に覚えのある方がいるかもしれません。
1960年代という時代に、まだ動物の専門家でもない若い女性が単身でアフリカの野生動物の森の中に派遣されるという実話は、信じられないような話でしかありませんでした。
その上、その若き女性はチンパンジーをこよなく愛するばかりでなく、毎日森の中にひとりで出かけていって、人との接触が不可能な野生のチンパンジーと大変長い時間をかけて距離を縮めながら交流を深めていくという物語のような人生です。アフリカの森を全く知らない私もその光景を想像しながら、動物と人の豊かな関係の可能性についてワクワクと心を躍らせました。
ジェーン・グドール博士の繰り返し言う「Hope in action」は、私の中にも根付いています。どんなに素晴らしい考えやアイデア、どんなに美しい動物との関係性も、行動なくして実現することはありません。私の道に大きな力を与えて下さったジェーン・グドール博士に恥じぬよう、どんなに細い道でもどんなにゆっくりとした歩であっても歩き続けていきたいです。
以下のジェーン・グドール博士の活動についての文章は、ジェーン・グドール博士が設立したジェーン・グドール・インスティテュートから送信されたメールの中から抜粋させていただきました。
引用ここから
ジェーン・グドール博士について
1934年4月3日、英国ロンドン生まれ。26歳のときにアフリカの野生動物への情熱を胸にタンザニア・ ゴンベへ渡り、チンパンジーの野生研究を開始。彼らの生活に「 隣人」として入り込むアプローチは画期的でした。1960年の「 チンパンジーによる道具使用」の発見は世界を震撼させ、 人間と動物の関係を根本から見直すきっかけとなりました。
1977年にはジェーン・グドール・インスティテュートを設立し、 博士の研究と理念を世界に広げました。1991年には「ルーツ& シューツ」を創設し、75か国の若者が思いやりある市民・ リーダーとなることを後押ししています。 晩年も博士は年間約300日の講演活動を続け、 野生動物の危機や環境問題、そして希望の理由を語り続けました。
博士は国連平和大使であり、大英帝国勲章デイム司令官を授与されています。 直近では2025年、米国大統領自由勲章を受賞し、 科学と地球への尽力が改めて称えられました。