グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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<犬のJ>Jのテリトリー構築の過程と時間について

今年の2月4日に一歳八ケ月で家庭犬として迎えた犬のJ(正式名称はJade)の記録です。

今回はJのテリトリーの構築がどのように進んできたのかについてです。

新しい環境での生活がはじまった犬にとってテリトリーの構築は絶対にするべきことです。犬は無意識のうちに生活圏を構築していきます。

動物にとって生活圏(生活のテリトリー)を獲得するということは、メンタルマップを作り替える作業にもなります。

どの動物にとっても何よりも大切な行動は「巣に戻ること」です。

私はアルコールを飲めないので経験はないのですが、知人がアルコールを浴びるほど飲んでしまって、どうやって家に戻ったのか記憶がないけれど帰宅していた、という話を度々聞いたことたがあります。人間にとっても「巣に戻ること」は命に係わる重要な行動なため、脳が危険を察知したときほど「巣に戻る=帰巣本能」が発揮されるのでしょう。

動物にとって最も大切な帰巣本能も、巣を中心としたマップがなければ使えません。

では、どのようにして巣を構築していくのでしょうか。

Jは成犬になってから家庭が新しくなるという環境の変化に直面しています。

成犬の巣の構築も子犬と同じ手順です。巣ですべきこと、寝ること、食べることを行い、安全に身を隠す場所となるのが動物にとっての巣穴です。Jは室内犬ですから、室内にはJの居場所を作り生活を管理します。食べる場所、寝る場所、休む場所の習慣があれば、これはすぐにスタートできます。

自分のベッドで休憩するJ。後ろはJのリビング用のハウス。



次に大切なのは、巣穴から出て排泄をする場所です。

Jは子犬期から訓練施設に至るまでの期間、一定の音を出して排泄を促す習慣を身に着けていました。Jの場合には「ワン、ツー」です。

ワンツーの合図と排泄行動とはまた別の内容になります。ワンツーの合図が必要となるのは、むしろ生活管理上で環境の変化が生じた時のためであって日常生活に必要なわけではありません。

排泄の合図の教え方は必要性についてはまた別に記載することにします。

到着した翌日のJ、係留して写真撮影をしています。向かって右手が最初の排泄場。



ここに暮らすJにとって必要なのは、排尿、排便をする場=テリトリーの構築です。

犬は自分の脚で行ける安全なテリトリーの最大に遠いところで排尿をします。排便の多くはグループ(家族)で出る習慣のある日常的な移動の最大に遠いテリトリーになります。普通は散歩コースになりますので、散歩途中で立ち寄る公園が排便場所となるのはテリトリーがちゃんとできているということです。

Jの場合には一般家庭とは少し異なります。というのも敷地が莫大に広く、家族で移動する場もすべて自分たちの敷地の中になるからです。ですから、一般的なケースとは少し違うと考えて下さい。それでもJのテリトリー構築に排尿、排便場所は欠かせません。Jはどのように排泄のテリトリーを作るのかを観察しました。

Jがオポハウスに到着してリードなしで自分で排泄にいけるようになるまでの期間を一ケ月間と予測していていました。ところが、実際にJがリードを付けずに排尿、排便を済ませて戻って来るようになったのはもっと短期間、10日間くらいでした。

最初は排泄場になりそうなところへリードを付けて同行する行為を繰り返しました。排泄の出る時間は朝、昼、夕です。特に朝の排泄行動は長く巣に帰った後の行動なのでとても重要です。そのうち補助リードを付けたままリードを持っていなくても最初に決めた排泄場に自らいくようになりました。

そしてこの期間に排泄とは別に私とともにリードをつけて庭を散策する活動を毎日続けました。ところが想定外の困難は、ちょうどJが到着した2月4日から大雪となりテリトリーの構築が難しい空間となったことです。私の移動もいつものようにいかず臭いも変化してしまいます。これが一週間近く続いたことで日々の散策活動のスタートは決して順調とは言えませんでした。

ところがJは、リードを付けずに自ら排泄場に行って家まで戻って来るようになりました。雪がなければもっと短期間で排泄テリトリーを構築できたかもしれません。この期間の短さは、Jのメンタルマップ獲得の速さでもあり、また新しい巣への順応性の高さを示しています。後者の方は新しい人という家族(つまり私とダンナ)への関係構築の速さでもあります。

上の写真はまだ重機があり、Jにはロングリードを付けています。

重機は庭の工事のために置かれていたもので、この時期はまだ工事が完全に終わっておらず庭の利用も難しかったのです。工事が2月終わりに終了すると活動が活発なりました。エントランス広場(自宅のテラス前の広場)をフリーで活動するようになりました。


写真は3月1日のもの、J広場の最期の角の柵が右側に見えています。エントランスの庭の上でこの上にのぼるとテラスからは姿が見えなくなります。これ以上登るときには許可なく進まないようにさせていましたが、このときすでにリードはつけていません。

この境界線がJにとってのエントランスの境界線となりました。


写真は庭の前の工事によって張られたグラスシート(草の生えるシート)です。このグラスシートを含む一体がエントランス広場になります。

ヤギたちのお世話に同行するJと世話をするダンナくん。3月4日



ヤギ小屋へ行くときにはフリーでついてくるようになりました。写真はちょうど自宅に来て一ケ月がたったころです。この日はダンナくんがヤギのお世話をしています。Jが到着して最初の一週間はダンナくんがオポハウス不在で私が一人で世話をしていましたので、私意外の人間とテリトリーを歩く行動が身に付いたころの様子です。

山羊たちとの接触についてはまた別に記載します。

庭の散策コースで犬のJ



上の写真はJ広場からヤギ小屋に向かう少し峠になっているところです。ひとつの分岐点になっています。私がこのあたりに座って休憩することもあるからです。

ヤギ小屋でヤギのお世話をしてぐるっと回って自宅に戻るコースが朝のコースで、左回りだったり右回りだったりします。周り方も少し手前を回るときと山の中腹を回るのに分けましたが、次第に休憩中に山の中腹あたりまでJだけで行くようになりました。

歩いている場所まではヨシとしているのですが、呼ぶまでに少し時間を長くしたときにはちょっと先まで行っているようです。

排泄に関しては、朝一の排便を終えたあとも何か特別なものを察知すると山でも排便をしているのを見ることがあります。まだ回数は少なくいつも同じ場所というわけでもないので観察を続けたいと思います。

こうしてテリトリーを構築してきたJですが、予想を超えて早くしかも広くテリトリーを持ち始めていること、同時に予想を超えて同行する人との距離をとる(離れていく)ということが分かりました。人との距離感については、生活圏を出るときには結束するのをルールとしていますが、生活圏の中では呼び戻しができること、移動時は戻ることの二つができればヨシとしています。

散策時の人との距離感をJがどの程度と捉えているのかについては次回記載します。

フリーで活動できるようになるまでの一ケ月間も、お預かりの犬たちが連日いる状態だったのでそれがどの程度の影響を与えたのは不明ですが、不安定な環境にも関わらずマップと関係を構築していくJの能力を知ることができ、また達成できたことについても安堵しています。

下の写真はリビングのマイベッドで休むJです。夕方まで外で活動してハウスで夕飯を食べた後から私が寝室で寝るまでの間、このベッドでずっと休んでいます。活動量はしっかりとあり豊かな環境のおかげで、夜に騒いだりうろうろしたり要求することもありません。

ベッドで寝る犬のJ

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グループトレッキングクラスを開催+花木をたくさん植えました。

4月のグループトレッキングクラスを開催しました。

暑さの続く日でしたが、トレッキングの日は朝から曇り空、そして少しだけ雨も降りました。

天候の変りやすい山の天気なので、小雨は気にせずに山歩きを決行しました。


長い時間をかけて作ってきた関係のある仲間たちとの集団行動は犬を落ち着かせていきます。


山道の途中では、ヤギのアールとゼットが草を食べながらお出迎えします。


犬たちももうヤギには馴れたものです。お互いに距離をとって相手を尊重するのが社会性です。


一列になって歩くと長い列になりますが、みんなで一つの群れです。誰かが声をかけると止まる、先頭が歩き出すとみな進みます。


新緑がまぶしくキラキラした山の風景が広がります。


トレッキングの後は対面のクラスを開催しました。

同じ犬との対面も成長とともに変化していきます。

犬のJも参加させていただきました。

クラスの後にいただいたのは、オポハウスのニホンミツバチたちからいただいた蜂蜜で作ったレモネード、もちろん生徒さんのお手製です。

蜂蜜の甘さに香りもあってものすごく美味しかったです。

おぽみつ使用の自家製レモネード



クラスの終了後、この日の午後の作業はオポハウスに花と木を植える作業です。


J広場には赤マンサク、白マンサク、ヤマボウシ、ミモザを植えました。

オポ広場にはキンモクセイ、広場の外には挿し木で育ててもらった紫陽花たち。


入口のガーデンにもたくさんの花を植えていただきました。

クリスマスローズも追加されました。

樹々の成長も一気にというわけにはいきません。それぞれの樹々や花々の成長に応じた環境と育てる人が必要です。そう考えると犬も全く同じです。そして、その成長を楽しませてもらっているのが私達の方です。

思い出すことがあります。この山に移転した十八年前には、山の杉の木を伐採したあとにモミジ、͡コナラ、サクラ、イチョウ、ケンポナシを植えていただき下刈りしながら育ててきたのですが、慣れない山暮らしにてんやわんやで、一本一本の成長を見届ける余裕がありませんでした。

樹々は大きく育ちひとつの山となり毎日の生活に豊かさを与えてくれ、犬との山歩きのクラスではたくさんの癒しを与えてくれて感謝しています。

本日植えた木の中には日陰を作りたくて植えた木もたくさんありますが、結果を求めずに植えた木や花たちの成育のために環境を整え、成長を見守りそれを楽しませていただくことをこれからはもっと大切にしたいと思います。

出会いがすべてのご縁です。どのご縁も大切にしていきます。


 

 

 

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ヤギのRとZ、お誕生日おめでとう!

今日はヤギのRとZのお誕生日、二頭とも二歳になりました。

二年前の春のことを思い出しています。

ヤギを飼おうかなと知人の紹介でヤギのいるカフェを紹介してもらいました。多久市にあるカフェを訪れると、そちらもヤギをもらって来られたとのことで、ご親切に紹介して下さったのが波佐見で古民家を改装したお宿でした。

早速、古民家のoniwaさんに連絡を取ったのですが、残念ながらオスのヤギは去勢術をしてしまったため仔山羊が産まれる予定はないという話でした。今回はご縁がなかったのだな、私にはまだ早すぎたのだろうなとヤギを飼うのを諦めていたところでした。

ところが、二年前の今日の日、4月17日にoniwaさんから「仔山羊が産まれました」と連絡が入りました。妊娠しているかもしれない気配はあったもののまさかと思っていたら…ということで、どうやら去勢手術をする直前に勝手に交配をしていたらしいのです。産まれた三頭のメスのうちの二頭をこちらにお迎えすることが決まりました。

向かって一番右がZ、一番左がR



初めて対面したときには膝の上に乗れるほどの小さかったRとZが、20キロ近いおとなのヤギへと成長しました。小さな山羊たちでしたが草を食べる勢いはものすごく、生い茂っていた登山口もあっという間に芝刈り、笹刈りをされていきました。いまでは小さなすみれが咲く風景となり、ヤギが来る前の写真と見比べると驚きます。

斜面の草刈の大変さをお手伝いしてほしくて迎えた山羊たち、草刈としては十分な役割を果たしてくれていますが、それ以上にヤギという動物について学ぶ機会となったことをありがたく思います。

ヤギのZの方は、賢く逃走傾向もないため最近までフリーで過ごさせていたのですが、斜面の工事やグラスシートの貼り付けをしたことで係留するようになりました。また、フリーにするもうひとつの欠点は、花を全部食べてしまうことでした。紫陽花やつつじの花には関心がないのですが、最近はシャクナゲや生徒さんたちが素敵な花壇を作って下さっていることもあって、しばらくは係留しながらできるだけあちこちにつなぐようにしています。


RとZでは全く知能のレベルが違うため、同胎の上に同じ環境で生育しているのになぜこれほど違うのかと思うのですが、そういえば私の母も「同じように育てたのにどうしてこんなに違ったのか」と憂いていたのを思い出し、それが動物の面白さなのだと納得しています。

犬のJは圧倒的にZに関心を持っていて、Zにまとわりついては頭突きをされることを繰り返しています。近づくと右往左往するRと違って、ちゃんと対面して頭突きをするZのコミュニケーション力の高さと自立性の強さに、いつも尊敬の念を抱きます。


Rの方は無駄な行動が多いのですが最近は個性として楽しむようにしています。山羊柵に頭を突っ込んで取れなくなるのを何度も繰り返しているので、柵の周りを木枠で囲む作業が終わったところです。

突っ込んだから取れるはずなのですが、しかも突っ込んで取れなくて鳴くなら学習すればいいのになと思うのですが、そうならないのがRです。道をなんども間違えるように「やったことを覚える」という基本学習を繰り返すのでなんども突っ込んでしまうので、見つけたときは“やぎのアールさん”というようになりました。逃走傾向の高いRが落ち着いて草を食べているときはほっとします。

ヤギと暮らすなど考えたこともなかったことが起きてヤギたちは2歳に。ヤギの寿命は犬と同じくらいですが、ヤギは医療の処置を受ける機会がなかなか得られないのです。しかし想定した以上にヤギという動物は強いことがわかりました。

RとZの毎日に安心が生まれるようにこれからもできることにトライしていきます。


多久市のスローカフェさんはこちらから→https://www.instagram.com/slowcafe_taku/?hl=ja

波佐見町のお宿oniwaさんはこちらから→https://oniwa.fun/

 

Posted in 山羊, 日々のこと, 自然のこと

<犬のJ>初めて唸り声を聞いた日のこと

2025年2月4日に生後一歳八ケ月になる黒ラブのJade(愛称はJ)を家庭に迎えました。ブログカテゴリーの「Jのこと」は、そのJの行動について書き留めるためのブログ記事となりますので関心のない方はスルーして下さい。

昨日ここに迎えて初めて、Jが「唸る」行動をしたことと、その唸る行動にいたった環境について記憶に残ったため記録します。

Jはここに来てから人や犬や他の物体に対しても、唸ったことがありませんでした。人に対しては当初は相手が興奮していると軽くジャンプする程度のもので、人に執着する様子もなく、犬に対しては回避か逃げるため唸って何かを主張することもありません。

むしろ、寝ているときに唸っていることはよくあり、よほど鬱積したエネルギーがたまっているのではないかと心配していたくらいです。その寝ている時にしか唸らなかったJが昨日初めてはっきりと唸りました。

実は昨日は本当に久しぶりの朝からお預かり犬のいない日でした。Jのお休みとしてゆっくりと過ごす計画でしたがあいにくの激しい雨、短い散策を終えた後に昼過ぎにかけて休憩タイムとなり、Jはリビングで伏せており私はキッチンで作業中でした。

その時、ウーと唸り声をあげました。音量的には小さくもなく大きくもなくですがはっきりと聞こえました。伏せたままですが顔は出窓の方、入口付近に向けられています。

この日宅配便が来る予定だったので、恐らくそうだろうと立ち上がってみるとシャッターの前に宅配の人が立っています。私が見に行くと同時にJも立ち上がり立ったまま外を見ています。Jに「もういいよ、私がいくから」と声をかけて戸口から出て宅配受け取りの対応をしました。

リビングに残したJの行動が気になってそとからガラス越しにJを見ると、部屋の中で少しうろうろいった感じでしたが、出窓の前で座りました。犬にとっては座る行為は見張る行為でもあります。

そして私が部屋の中にはいるとゆっくりと私に近づいてきて伸びで終わりです。

これまでに来客が到着したときにも唸ったり吠えたりしたことがなかったため、というかそもそも唸ったり警戒吠えをすることがありませんでした。そのため警戒吠えはしないタイプなのかもしれないと考えていたのですが、そうではありませんでした。

犬のお預かりやクラス受講のためにもたくさんの人の出入りがある場所なので、常に警戒モードでは犬が疲れてしまうため、できるだけそうならないように来客到着の手順については考えています。

しかし、もしかしたら(これもまだ推測の範)ですが、たったの数ケ月というこの期間で私の状態をJが知ることが私が思っている以上に進んでいるのかもしれないとも思っています。

子犬の成育なら三ケ月で迎えたとしても警戒吠えや警戒唸りを発するようになるまでそれから3ケ月はかかります。その間に子犬の知覚や感覚も発達をするわけですが、成犬として迎えているので、どの程度の期間で私と感覚共有をするのかが私にとっても未知の体験でした。この期間には個体差が大きく出ますし、ここの生活環境は一般家庭とは大きく違いがあります。

番犬を期待していなかったJが、私たちの身に危険が迫っていることを知らせる唸り声を出したことは、想定外でしたがうれしいことでした。でも、大きな期待はしません。Jの持っている能力ができるだけここで発揮されて、そのことでJが楽しく生きてくれればそれが飼い主としての幸せです。

犬のJとオポハウスの裏、山羊たちも

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<おすすめの本>大地の再生実践マニュアル 空気と水の浸透循環を回復する

本日のおすすめの本はこちらです。


書籍名 大地の再生実践マニュアル 空気と水の浸透受難を回復する

発行所 一般社団法人 農山漁村文化協会

実は手元にあるこの書籍は生徒さんからいただいたものです。

その生徒さんは都会のマンション住まいから山の中の一軒家に、犬を含む家族とともに移り住まれた方です。

ご自宅のリフォームや自宅周辺の土地の改良に取り組んでおられるようですが、私の勉強用にこの本を下さいました。

私はこの山の学校に18年間住んでいるのですが、その山暮らしは決してのんびりしたものではありません。

自然はすごくパワーがあって、草はあっという間に伸びて道を塞ぐし、雨の日は怒涛の様に流れて来る水に怯えることもあります。

一昨年は線状降水帯がこの地区の上を通過したことで、七山、三瀬地区の一部の河川、その周辺の土砂は一気に崩壊しました。うちの裏山もその一部でした。

崩れた山の斜面にグラスシートを張る風景



山に住んでいれば土砂崩れは当たり前だと考えてしまうのですが、今回の災害で目の当たりした道路周辺の土砂災害はあきらかに人災と思えるものでした。

その人災を起こしている理由がこの本を読むとよくわかります。

副題にある通り、課題は「空気と水」です。その流れは常に流線形であって直線ではありません。

ところが、人の頭はどうにかして丸いものを四角くしようとします。人工的なものを立てるなら丸い建物よりも四角建物になります。

家、小屋、机、椅子…四角くすると安定して立つのでしょうが、四角く建てるものは斜面との相性が悪いです。

ここで、休憩小屋、薪台、ヤギ小屋を建ててきたダンナくんの一番の悩みは「平がない」です。

平坦があれば何でも建てられるに斜面しかないのがここの欠点だとダンナくんはいいます。

しかし、自然の空気や水をよく通すためには、平坦のないこの空間こそ自然をキープする役割を果たしていると思うのです。

通すためには流線形の道が必要です。風も水も流れるときには蛇行して流れていきます。オポ広場にもいつも水の流れる道があって、自然に蛇行していくのが不思議だなと思ってみていますがこれが自然の原理です。

石積みの文化は水と空気を通す素晴らしい文化なのでしょうが、その文化も技術の引継ぎがなければ途絶えてしまします。

今回のオポハウスの裏山の斜面の工事の際に、庭に積んであった石垣も一旦撤去することになりました。というのも、土砂の重みで石垣そのものが移動しておりこのままでは脆すぎるからということでした。

しかし、幸いなことに工事担当の方の中に熟練の職人さんがいらして、新たな石垣を積み上げて下さいました。  
石を積み上げる作業は、石にワイヤーととおしてユンボで釣った状態でひとつずつ位置を確認しながら積み上げていくものでした。サイズがなければ石を割って作るという、ものすごく地道な作業を積み重ねてできたのが目のまえにある石垣です。

石積みの技術がなければ真っ直ぐの斜面を貼り付ける作業になってしまいます。そうなると土の中の空気や水が遮断されてしまいます。

書籍の内容に戻りますが、書籍の中には今までの間違いを但し、自然と共に暮らすための技術がたくさん紹介されています。

書籍の冒頭は屋久島の自然の変化の話から始まるため、都会に住む人には遠い話で無関係だと思われるかもしれませんが、自然に近い場所というのは私達のすぐ身近にあるのです。

あえて自然と関わって生きなくても、都会のコンクリートで囲われた空間に住めば良いではないかと考えるのも良いですが、空気と水の循環は都市空間にも影響をしているのです。自然との境界線にあたる里山を上手く機能させることが、都市空間を守ることにもつながっていると思います。

さらに、自然とつながる場がなくなってしまえば、犬達が息抜きをする場もなくなってしまいます。都市空間で囲われた建物の中で過ごすことと自然の風や水の流れを感じながら過ごす時間では、時間の流れも質も変わります。

この本に書いてあるような大掛かりなことはできそうにありませんが、せめてその仕組みだけでも頭に入れておき、自分が自然に何かをするときにはこのことを考えて取り組みたいと思います。

山暮らしをしていない人にもおすすめの本です。都会に暮らしていても山が死ねば水も空気も死んでしまいます。そしてもっと早く犬も息絶えてしまいます。

書籍はオポハウスに置いてありますので、トレッキングクラス時にご覧になりたい方はどうぞ。

オポハウスと犬のJ



 

Posted in 本の紹介

最近のこと。

ブログの更新が遅れており、言い訳のためにアップしています。

その言い訳とは、今年の秋に出版予定の本の初回の締め切りが昨日でした。

毎晩、レッスンやお預かりクラスが終わってから21時から24時を超えるまで修正や加筆を加える作業が一ケ月続きました。

すごくたくさんやっている感じがするのですが、実はなかなか進みませんでした。

集中してやればほんの数日で終わるような内容なのに、不得意なことだけになかなか集中できなかったことが時間も労力も使い過ぎた理由です。

普段はみなさんに馴れない犬育てについて指導する立場ですが、立場が変わって自分が大変な状態になっていますので、今は少しやさしい感じになっています。(はずです)。

ようやく初稿を提出したため、片づけていなかったものや場所の整理を再開しました。

例えば、ヤギのRが最近は毎日のように柵から頭を突っ込んで、もとに戻らない状態になっています。いわゆるクマのプーさん状態なのです。

ヤギのZの方は絶対にしないこの間違いをRは何度も繰り返します。間違えていると学習するのではなく、反復して練習回数が上がってきたため繰り返されています。

こうなると環境を操作するしかありません。柵から頭を出さないようにと木の枠をあてがう作業を始めました。

昨日、数枚を付けたのですが、今朝見に行くと、期待どおりに今日も顔を柵から出してました…引き続き追加の板を付けていきます。

また、J広場の方は竹の根をはがす作業に取り組んでいます。非力は私では一日二本程度ですが、千里の道も一歩から、ということで全くめげていません。気長にやることは得意な性質なのでしょう。

さらにJ広場には、日陰かつニホンミツバチの蜜源となる樹木を育てる予定です。先日生徒さんたちにアドバイスいただいた「メディカルティーツリー」を最初の一本目として植え付けました。追加の樹木を今月のグループトレッキングクラスまでに準備する予定です。

4月20日はオポのバースディなので、植樹祭としようと張り切っています。この樹木を希望するなどのご意見があれば、ぜひご連絡下さい。

今日は、テラスの修理のためにお手伝いをして下さることになった生徒さんが来て下さり、長さを測るなどの打ち合わせが始まりました。テラスリフォーム部はダンナくんが部長として担当することになりました。

犬のJは少しずつ慣れると同時に遠慮もなくなってきています。Jの行動の変化などを記録としてブログに書き残したいと思っていますが、こちらもそろそろ取り組みを開始する予定です。

オポハウスでは鶯が鳴くようになりやっと寒さから解放された感じです。一年中で一番過ごしやすい季節なのでこの時期はできる限り山で呼吸をしたいです。

取り急ぎのお知らせとなりました。

朝の散歩をするJ

Posted in 未分類

<お知らせ>3月・4月のグループトレッキングクラス日程のお知らせ

グループトレッキングクラスの日程についてお知らせします。

3月23日 日曜日 10時開始

4月20日 日曜日 10時開始

※4月は第三日曜日となります。

暖かく過ごしやすい季節がやってきます。

ご参加希望の方はご連絡下さい。


 

Posted in お知らせ

2月のなごり雪を踏みながら、山歩きのクラスを開催しました。

暖かい日が多くなり春の訪れを感じるようになりました。

しかし先週末は寒波の戻りで冬の厳しい山の学校では、朝から雪がちらちらと舞う天候となりました。

この日はグループトレッキングディ。

今月はじめにオポハウスで暮らし始めた犬のJのトレッキングデビューも予定していました。

朝から道路が白くなりそわそわしながらトレッキングに参加の犬と飼い主さんの到着を待ちました。

トレッキング前には日差しが戻ってきて、寒空の中ではありましたが無事にクラスを開催することができました。



地面にうっすらと残る雪が冬らしい景色です。

季節の移り変わりを人は視覚で犬は嗅覚で楽しむのも山歩きならではの時間です。


シングルコートの大きな犬は洋服を着て参加しました。



山の斜面にもなごり雪があります。

土をしっかりと踏みしめて歩くことは、犬にとってはもちろんですが人にとっても健康的な活動です。

皆で歩くとパワーも倍増なので結構大変な山歩きがとても楽しい時間になります。


犬のJも無事にトレッキングデビューを果たすことができました。

まだ環境にも山歩きにも慣れていないJのリードを肩にかけての歩行となり、みなさんにはいろいろとご協力いただきました。



暖かく見守って下さる仲間がいることをとてもありがたく感謝いたします。


通用口前にJの居場所があるため出入りにも協力していただきました。

「勝手に犬に触らない」

「不用意に距離を縮めない」

という社会的なルールを犬に守れる人たちのグループだからこそ、犬の社会性が安定してきます。

犬との距離の縮め方にもあくまでも礼儀が一番です。

みなさんとも犬たちとも少しずつ関係を築いていけるようにと願っています。


クラスの後はJ広場の整備もしました。

充実した一日の終わりのJは暖炉の前でぐっすりと寝ています。

大切な時間をいただきました。

有難くゆっくりと楽しんでいます。

3月と4月のグループクラスの日程は後日お知らせします。

 

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<おすすめのアイテム>はるちゃんママお手製の犬のジャーキーのお店“KIRIYA”がオープンしました。

今回は犬のオヤツのお店のご紹介です。

グッドボーイハート生の黒柴犬のはるちゃんの飼い主さんが、手作りジャーキーのお店をオープンしました。

はるちゃんママは調理師学校の先生をされていた凄腕の調理師の先生です。

すでにスクールでも皆さんにいろんな差し入れを持ってきてくださっているのでその凄腕をご存じの方もいらっしゃると思います。

そのはるちゃんママの手掛けたこだわりのジャーキーやクッキーやスープのお店です。

お見せの名前は「KIRIYA」。

写真は商品の一部です。


鳥の足先部分や雉の足先部分の骨のオヤツもあります。


野生動物の猪と鹿の骨のスープもあります。

私が食べたいくらい、美味しそう。


オヤツとして与える他、日々のごはんに混ぜたりといろいろと活用できそうです。

詳しくは以下のホームページをご覧ください。

ショップURL
https://harunorai.base.shop/

Instagram
https://www.instagram.com/harunorai

グッドボーイハートには在庫はありませんので、ご注文の際には直接ホームページからご連絡下さい。

安全かつ安心できる食べ物で犬たちが心身共に健康になりますように。

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<Jのこと>犬の家族を迎えました。

オポハウスに新しい家族として犬を迎えました。

ブラックのラブラドールレトリバーの雄犬、年齢は1歳8ケ月です。

名前はジェイド(Jade)といいます。

愛称はJ(ジェイ)です。

2月3日にJを迎えるために茨城県ひたちなか市に向かいました。

向かった先は「いばらき盲導犬協会」です。


Jは同協会で盲導犬としての訓練を受けていた犬です。

今回キャリアチェンジ犬となり、家庭犬として迎えることになりました。

キャリアチェンジ犬とは、盲導犬育成に至るまでの「繫殖、育成、訓練」の過程の中で、盲導犬としての適性がないと評価された犬です。

盲導犬としての適性がないというのは、身体的な問題、性質的な問題として盲導犬としての仕事が向いていないということです。

性質の評価は様々な段階で盲導犬育成施設が作った適正評価テストに基づいて行われています。

私が盲導犬育成に携わっていた時代には施設によって異なった基準を持っていましたが、現在では全国の盲導犬協会が作る団体で共通のテストが使われているとのことでした。

Jは訓練を受けていましたが最終的に性質的に盲導犬としての性質がないと評価されたため家庭犬にキャリアチェンジすることになりました。

キャリアチェンジのケースとしては、盲導犬から災害救助犬、盲導犬から介護犬となる場合もあります。

Jの引き取りには私とダンナくんのふたりで向かいました。

キャリアチェンジ犬を引き取るにあたっての説明を受けて手続きをした後に施設見学をしました。

事務所、犬舎、視覚障がい者と訓練を行う共同訓練室などを見せていただきました。

使役犬の施設は、盲導犬、警察犬、介助犬、災害救助犬、セラピー犬とたくさんありますが、その中でも盲導犬育成施設は特に整備されています。

ダンナくんは使役犬の育成施設を知らないので今回は勉強を兼ねています。ダンナくんはとても関心を持って見学していました。

オポハウスでも当たり前のことですが、複数の犬が収容されている施設でも全く犬の吠え声はありません。

施設に部外者が入ることで犬はとても緊張しますが、管理者(ここでは指導員)がきちんと管理していれば吠えることはありません。一言でもワンと犬が吠えれば「ノー」という管理者の声が響きます。

グッドボーイハートでも同じことをしていますが、それは盲導犬でも家庭犬でも同じことだからです。

普段はペットショップやホテル、トリミングショップなどでワンワンと犬が吠えている場しか知らないダンナくんにこの光景が当たり前であることを知って欲しかったので、今回は良い機会となりました。

写真は最後に排泄場に出る前のJとダンナくんです。


Jを受け取りハスラーにのってオポハウスへの道1279キロを走りました。

当初は途中で一泊しようかいうプランもあったのですが、Jを早くオポハウスで落ち着かせたいという気持ちが高まり、宿泊なしで戻りました。

しかし、ふたりとも中年+アルファの年齢なので途中で休憩をとりつつオポハウスに到着したのは4日の夜明けになりました。

運転はダンナくんが引き受けてくれたため、帰宅後は私がJのお世話を担当しました。


オポハウスに到着したばかりのJです。

途中から吹雪いていたので想像はしていましたが、オポハウスは真っ白の雪景色で凍えそうな寒さです。


はじめてオポ広場に入ったJです。

Jのいろんな行動から思いや感じることがあり、頭の中にメモを取るように記録しています。

今私が感じていることが間違っているのか間違っていないのかはまた時間がたってわかることです。

自分の犬なので自分が最も観察できる立場にあります。

犬と暮らす楽しみはたくさんありますが、犬を理解することが最も楽しい時間です。


MYベッドにはじめて顔を落としたJ、これから始まる生活がお互いにとって楽しく豊かな時間となるように努めます。

今回、Jを家庭犬として迎えることになりましたが、オポハウスは家庭犬の育成場となるドッグスクールです。

初代のオポは家庭犬の育成のために先生を超えて最後には教官として犬たちの育成に携わっていましたので、生徒さんのJへの期待も高まっています。

しかし、Jにはそのようなタフな仕事は向いていません。

そもそも、他の犬を抑えて頂点に達するような犬は盲導犬として最初から向いていないため繁殖の段階ではじかれています。

オポも海外の盲導犬育成施設が繁殖した犬ですが、オポは子犬のときから家庭犬として引き取ったので盲導犬には適さないタイプの犬でした。

どのような犬にも“適性”というのがありJは家庭犬向きの性質ですから犬の教育はいたしません。

みなさんにとっては私の犬育てを初めて身近で見られると期待も大きいことと思います。

犬育てにとても慎重ですから、犬との対面にも時間をいただくことになると思いますがそのあたりもご理解いただきながら今後もお付き合いください。


“Jお迎えプロジェクト”で留守番となった山羊のアールとゼットは山羊部のトシちゃんがお世話をしてくれました。

途中連絡ではトシちゃんがゼットに「先生は帰って来ないよ。」というとゼットがメエーといいながら首を横に振ったとのことでした。

トシちゃんも山羊と対話ができるようになったようで頼もしいです。

Jを通して学んだことをこれからもブログでお知らせしていきます。

Posted in Jのこと